週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

クリーンアップで起用されている阪神・糸原健斗が最も輝く打順は?

 

数字だけでは測れないその魅力



 ヤクルトと熾烈な優勝争いを繰り広げる阪神。攻守でキーマンになるのが糸原健斗だ。その魅力は「何でもできる」ことだ。選球眼が良く出塁率が高い上に直球にも強い。追い込まれても簡単に凡打せずファウルで粘れる。バスターや進塁打など自己犠牲を厭わない献身的な姿勢で、矢野燿大監督から絶大な信頼を寄せられている。

 レギュラーに定着したのはプロ2年目の2018年。チームで唯一の全143試合出場し、打率.286、1本塁打、35打点の成績を残す。阪神の内野手でプロ入り後2年目までに全試合出場を果たしたのは2リーグ制以降で1981年の岡田彰布、2005年の鳥谷敬(現ロッテ)に次いで史上3人目の快挙だった。同年オフには球団史上最速のプロ3年目で主将に就任する。

 糸原は週刊ベースボールのインタビューで新主将としての意気込みを聞かれ、「今年からキャプテンを任せられることになりましたが、自分としては意識的に何も変わったことはありません。周りがそういうふうに思っているだけだと思います。僕自身、この世界で生きていく中で、小技を生かし、自分を犠牲にしてプレーをするというのが特長だと思っています。それをやっているだけなので、キャプテンだからそういうことを考えてやっているということではないです」と強調した。

 さらに「プレーの話でいえば、塁間を全力疾走したり、守備では球際でがむしゃらに食らいつくプレーをすることはプロ野球選手としても当たり前ですし、そういうプレーをすることでチームが盛り上がっていけばいい。そのプレーの積み重ねが、勝利に導くことにつながっていくと思いますね」と語っている。

 特別なことをするわけではない。ただ全力疾走を怠らず、ミスや凡打をしても下を向かない。ユニフォームを泥だらけにして試合に出続ける姿は選手たちの良きお手本だ。糸原の魅力は数字だけでは測れない。成績だけでなく野球に向き合う真摯な姿勢が、主将に抜擢された大きな理由だった。

つなぎのクリーンアップとして


 19年も2年連続全試合出場したが、昨年は試練のシーズンになった。7月に右手有鉤骨骨折で連続試合出場が312でストップ。秋も新型コロナウイルス感染で離脱し、プロ入り最少の63試合出場にとどまった。グラウンドに立ち続けることでチームを引っ張ってきた男は当然悔しかっただろう。

 後輩の大山悠輔に主将の座を禅譲したが、チームの精神的支柱であることは変わらない。今季は開幕から主に「二番・二塁」でスタメン出場してチームの首位快走に貢献していたが、9月以降は三番、五番などクリーンアップを打つ機会が増えている。一番・近本光司、二番・中野拓夢の俊足コンビでチャンスメークし、糸原がクリーンアップでポイントゲッターに。本塁打を量産するタイプではないが、「つなぎのクリーンアップ」で大量得点を奪いたいという首脳陣の意図が見え隠れする。

 打順別の成績を見ると、二番が最も多く64試合出場で打率.271、1本塁打、23打点。三番は9試合出場で打率.345、0本塁打、2打点で、五番は14試合出場で打率.313、1本塁打、2打点をマークしている。出塁率で見ると、三番は.486、五番は.400ときっちり役割を全うしている。

 打線の潤滑油になれる糸原をどの打順に置けば、打線が機能するか。16年ぶりのリーグ優勝に向けて、キーマンになることは間違いない。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング