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男子部員と同様の段階を踏んで…早大が初めて女子部員をマネジャーとして東京六大学野球連盟に部員登録

 

唯一女子部員の登録がなかったが…


早稲田大学野球部は今秋、女子部員(マネジャー)を初めて東京六大学野球連盟に部員登録した


 1901年創部の早稲田大学野球部。ホームページの「入部資格」には、こう記載されている。

「早稲田大学に入学が確定した新1年生であれば、経歴、性別等関係なく入部可能です。推薦入試に合格した学生でも、一般入試に合格した学生でも野球部に入部することができます。ただし、野球部長及び監督が早稲田大学野球部の建部の精神を体現するに相応しいと認めた者に限ります。また、途中入部やマネジャー・学生コーチ志望の学生の受け入れはしておりませんのでご注意ください」

 9月7日、1年生・藤田南(開智高)がマネジャーとして東京六大学野球連盟に部員登録された。同連盟では1990年代中盤から女子部員の登録を認めており、女子選手が投手としてリーグ戦で登板した例もある。その多くはマネジャーで、明大と立大は同時期、続いて法大、慶大、東大の流れで女子部員が誕生した。そして今秋、唯一、在籍のなかった早大に女子部員(マネジャー)が登録された。

 早大の場合、誤解をしてはならないのは、あくまでも「マネジャー」としてではなく「部員」として入部するという、大前提がある。

 1年生としてグラウンド(安部球場)で汗を流し、伝統とシキタリを学んでいく。最近の慣例としては原則、2年生に進級するまでのタイミングで、2人のマネジャーを選出。秋から複数回に及ぶ学年ミーティングにより、互選された人物を、最終的には野球部長、監督が承認し、正式就任の運びとなる。男子部員であれば、選手の道に一区切りをつけないといけない。相当な決断を迫られるのだ。

 藤田は女子部員であっても、特別扱いはなかった。男子部員と混ざってプレーすることはできないが、練習前の準備(グラウンド整備、クラブハウスの清掃など)を一緒に行った。練習中はマネジャー業務のサポート。日々、真面目に取り組む姿勢に、周囲からの信頼を得ていったという。

甘えは一切許されない厳しさ


 9月上旬。1年生による学年ミーティングでの話し合いの末、藤田はマネジャーとして評価、推薦された。男子部員と同様の段階を踏んだのだ。

 大学野球部のマネジャーとは渉外、広報、財務、施設管理、合宿所運営ら業務は多岐にわたり、組織の束ねる立場である。人のために動くのが基本。甘えは一切、許されない厳しい世界であり、覚悟がなければ務まらない。

 冒頭の「入部資格」にあるように、早大は今後も女子マネジャーを志望する部員を受け入れない方針に変わりはない。

 早大はマネジャーだけでなく、新人監督(他大学では学生コーチ、学生スタッフとも呼ぶ)の選出についても、学年ミーティングを重ね、2年秋のリーグ戦終了後までには人選を固める流れがある。チームの根幹をなす2つのポストは、同級生の「信用」が必要不可欠。そこには、同期の絆も存在する。マネジャー、新人監督へと推した選手たちは、より責任と自覚を持ってグラウンドに立つ。こうして、120年以上の歴史がつながれていくのである。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
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