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吉川尚輝、大山悠輔、柳裕也…セ・リーグ6球団「2016年ドラフト1位指名」の現在地は?

 

今年は10月11日にドラフト会議が行われる。やはり最注目はドラフト1位になるが、果たして今から5年前に最上位で指名された選手はチームの戦力となっているのだろうか。2016年秋のドラフトで1位指名されたセ・リーグ6球団の選手の現状を見ていく。
記録は10月4日現在

読売ジャイアンツ



 5球団が競合した田中正義(創価大、現ソフトバンク)を第1回入札で、さらに5球団が競合した佐々木千隼(桜美林大、現ロッテ)を第2回入札で逃し、1位指名したのが中京学院大でこの年の春、大学日本一に輝いていた吉川尚輝だ。大学球界No.1内野手の評価を京田陽太(日大、現中日)と二分した吉川は、すぐに正二塁手争い(本職は遊撃手)に加わり、2年目以降は常にその争いをリードする存在に。ここまで持病の腰痛やケガでたびたび戦列を離れるのが玉にきずだが、二塁守備の評価は高く、打っても初めて規定打席に到達した昨季は97安打(今季は77安打)を放つなど、打撃面でも成長を見せている。

阪神タイガース



 当時の金本知憲監督が一本釣りで1位指名したのが大山悠輔だ。今季主将として、四番打者としてチームを引っ張っている。昨季のような活躍はできていないが、責任を全部背負い、苦しみながらもチームが首位争いを続ける原動力になっている。ヒットが打てなくても走者を次塁に進める。さらにホームにかえす最低限の役割である犠飛を7つ打っている。これはリーグトップの数字。今後ヤクルト、巨人との優勝争いがさらに熾烈になるが、この男の打撃が上がってくれば、阪神は加速し優勝が見えてくるはずだ。

東京ヤクルトスワローズ


ヤクルト・寺島成輝


 ヤクルトは履正社高の左腕・寺島成輝を単独1位指名した。寺島は昨季、中継ぎとして30試合に登板し防御率2.48と結果を残した。だが、今季は3月27日の阪神戦(神宮)に登板し、2イニングを1失点。以降、二軍調整が続いている。春季キャンプから先発再転向にも挑戦しており、二軍では先発、中継ぎの両方を経験。先発した9月26日のイースタン・ロッテ戦(戸田)こそ4失点と苦しんだものの、7回を投げるなど徐々にステップアップしている。プロ5年目のドライチだけに、期待に応えられているとは言いがたいが、今後の成長が楽しみだ。

中日ドラゴンズ


中日・柳裕也


 プロ5年目にして最高のシーズンを送っている。防御率2.10と155奪三振はリーグトップ。勝利数も2年ぶりに2ケタに乗せて10勝。これはリーグ2位だが、トップが11勝とわずか1勝差の射程圏内。投手3冠の可能性が見えているほどの大活躍だ。キレのあるストレートに多彩な変化球を駆使して打者を翻ろう。開幕直前にプレートの踏み位置を一塁側から三塁側に変え、マウンドで状況を俯瞰して見ることができるようになったのが好調の要因と言える。チームには昨年、10完投勝利を挙げて沢村賞を受賞した大野雄大がいる。「大野さんのような投手が本当のエースだと思います」。目指すべき存在が身近にいることも柳にとっては大きいはずだ。

広島東洋カープ



 広島のこの年のドラフト1位は、慶大から入った矢崎拓也(当時は加藤拓也)だ。ルーキーの2017年4月7日のヤクルト戦(マツダ広島)、プロ初登板で9回一死までノーヒットノーランのプロ初勝利と、鮮烈なデビューを飾ったが、今に至るまで一軍での勝利はその1勝のみ。プロ5年目になるが、一軍定着は果たせていない。最速150キロ超のストレートの球威は誰もが認めるところだが、制球が今ひとつで与四球、被安打が多い傾向は変わらず、つかまり出すと大量失点につながることもしばしば。今季はファームでは先発調整し、まずまず安定した内容を見せたが、一軍では防御率11.57。そろそろ一軍で確たる手応えを得たいところだが……。

横浜DeNAベイスターズ



 2016年秋のドラフトでDeNAに1位指名された濱口遥大はルーキーイヤーから先発ローテーションに食い込み、荒れ球ながら150キロに迫る真っすぐと、チェンジアップ、フォークを武器に10勝(6敗)をマーク。リーグ3位から勝ち上がった日本シリーズでは堂々の投球でチームを勝利に導いた。しかし、2年目以降は4勝、6勝、6勝と1年目の成績を上回ることができていない。5年目の今季は今永昇太の出遅れもあり初の開幕投手に抜てきされたが、好不調の波が激しく、完封勝利も飾ったかと思えば制球難から自滅する試合もある。今季はここまで5勝7敗、防御率3.94と苦戦。現在はファームで調整しながら一軍登板のチャンスを待つ。

写真=BBM
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