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田中正義、山岡泰輔、佐々木千隼…パ・リーグ6球団「2016年ドラフト1位指名」の現在地は?

 

今年は10月11日にドラフト会議が行われる。やはり最注目はドラフト1位になるが、果たして今から5年前に最上位で指名された選手はチームの戦力となっているのだろうか。2016年秋のドラフトで1位指名されたパ・リーグ6球団の選手の現状を見ていく。
記録は10月4日現在

福岡ソフトバンクホークス



 今年ダメだったら……。そんな思いを何度も抱え、田中正義は一軍のマウンドに戻ってきた。5球団競合のドライチ、しかも大卒とあって、1年目から多くの人が期待を寄せた右腕の活躍。しかし、右肩の故障などもあって二軍戦すらわずか1試合の登板で終わると、その後も故障や不調で、いつしか田中の名前は聞かれなくなっていった。ただ、田中自身はいつも冷静に自分の置かれている立場を見つめ、トレーニングに励んだ。「本当にたくさんの方に助けていただいて、支えていただいたんです。だから、その方たちに何とかいい姿を見せたいという気持ちが大きかった」。その気持ちが少しずつ報われようとしている。今季はここまで13試合に登板して12回を投げて防御率1.50。成績としてはまだまだ物足りないが、苦境を乗り越えた強さが“これから”を予感させる。

オリックス・バファローズ



 即戦力右腕として、社会人No.1の呼び声が高かった山岡泰輔を一本釣り。期待に応えるように新人年から開幕先発ローテ入り。勝ち星こそ8勝止まりも、規定投球回をクリア。2年目の2018年は不振から一時、中継ぎに配置転換を経験するも、19年は2ケタ13勝(4敗)を挙げて「勝率第一投手」のタイトルを手にした。同年にはプレミア12の日本代表に選出され、背番号を19に変えた昨季は初の開幕投手とキャリアを重ねるも、今季は6月に右ヒジを痛めて離脱。8月にファームで実戦復帰を果たしたが、9月に手術を受け、今季の復帰は絶望的となった。多彩な変化球を操る右腕は「オリックスで優勝したいんです」とチームを思う気持ちは人一倍。離脱は誰より本人が悔しいはず。悔しさは来季に晴らす。

千葉ロッテマリーンズ



 田中正義を抽選で逃すも、第2回入札(外れ1位)で、史上初5球団が競合した佐々木千隼を引き当てた。即戦力の期待された右腕は、1年目の2017年こそ開幕先発ローテ入りを果たすも、以降は伸び悩み、翌18年は右ヒジを痛めて開幕二軍スタート。すると6月に「痛みがなくなるのなら……」と手術を決断した。リハビリを経て19年7月に656日ぶりの復活勝利を挙げ、昨季からは救援登板に。今季は開幕から安定した投球を続け、セットアッパーとして奮闘。救援ながらチーム2位タイの8勝と、逆転を呼ぶ投球は、ゆったりとしたフォームからノビのる直球とカーブ、シンカーを投じて、打者のタイミングを外している。逆転Vへ。残り試合もリードを守り抜く。

埼玉西武ライオンズ



 2016年夏の甲子園で優勝投手となり、同年のドラフトで西武の単独1位指名を受け入団した今井達也。2年目の18年から5勝、7勝、3勝をマーク。今季も制球難が顔をのぞかせ、投球に安定感がないがここまで7勝を挙げている。だが、そのポテンシャルを考えれば物足りない。10月2日の日本ハム戦(札幌ドーム)では7回5安打2失点ながら打線の援護がなく自己最多の8勝目を逃したが、辻発彦監督は「試合を作ったから満足していい投手ではない」とピシャリ。ロースコアの接戦の展開で流れに応じた投球をすることを求めた。まだまだレベルアップを果たさなければいけない。

北海道日本ハムファイターズ


日本ハム・堀瑞輝


 2016年秋のドラフトで1位指名され、日本ハム入団5年目の堀瑞輝は、初のタイトル奪取を視界にとらえている。高卒1年目から一軍デビューを飾り19年には救援投手として台頭。今季は抜群の安定感で勝利の方程式の一角を守り続け、中継ぎエースとして主に勝ちゲームの7回を任される。9月18日には2年ぶり2度目の50試合登板を達成した。10月2日の西武戦(札幌ドーム)では1対1の7回に登板。一死から味方の失策でピンチを招いたが、その後を無失点に切り抜ける粘投に「仲間を守るという意味では重要な場面だった。本当によく抑えた」と栗山英樹監督も称賛した。パ・リーグ最多の38HPを挙げ最優秀中継ぎ投手争いを独走中。飛躍を遂げた左腕が勲章を手にする日も近い。

東北楽天ゴールデンイーグルス



 過去5年で一軍登板がもっとも多かったのは2年目の2018年で、14試合に登板して4勝をマークした藤平尚真。1年目の3勝に続きこの数字を残したことで期待値が高まったが、以降の2年は一軍で未勝利。今季は7月31日のエキシビションマッチ、DeNA戦(楽天生命パーク)で二番手として「一軍初登板」。2回を無安打無失点に抑えたが、公式戦での登板はまだない。イースタンでは18試合に登板して防御率7.16と絶不調。これでは昇格のタイミングはなかなか訪れないだろう。奮起が必要な若手選手の一人だ。

写真=BBM
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