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DeNA・宮崎敏郎がFAで争奪戦か 「パ・リーグで人気」の理由とは

 

卓越したミート能力



 シーズンで打率3割を打つのは難しい。そして何年も続けることはさらに難易度が増す。DeNA・宮崎敏郎はプロ8年間で打率3割を3度マークし、今季も10月5日現在、打率.299、16本塁打、69打点の好成績。ヒットメーカーのすごみを他球団のスコアラーはこう分析する。

「一言で言えば空振りしない。どのコースの球もヒットゾーンに飛ばし、速い球にも振り負けない。変化球もうまく拾うので投手は投げる球がなくなる。配球を読む能力も高い。見透かしたように内角を振り抜いてスタンドに叩き込む技術がある。打撃に関してはまさに天才ですね」

 バットを投手側に傾けてタイミングを取る独特の打撃フォームから、フルスイングで広角に安打を打ち分ける。プロ5年目の17年に打率.323で首位打者を獲得。翌18年は打率.318で自己最多の28本塁打、71打点をマークする。驚くべきことに50三振以上したシーズンがない。卓越したミート能力の証だ。

 宮崎は首位打者を獲得した17年オフに週刊ベースボールのインタビューで打撃理論を語っている。「具体的にはインコースとアウトコースの打ち方を変えました。スイングの軌道、腕の出し方。分かりやすく言うとインコースはアッパースイング、アウトコースはレベルというイメージです」と明かした上で、「コースで(打つボールを)待っていて、来たボールに対応していく感じです。当然、状況に応じてコースではなく球種で待つこともありますが、そういうスイングのイメージを持つことで打撃は変わりました」と手応えを強調していた。

 そんな宮崎は決して「野球エリート」ではない。楽天田中将大巨人坂本勇人ソフトバンク柳田悠岐らスターがそろう「88年世代」だが、アマチュア時代は無名な存在だった。佐賀・厳木高、日本文理大で巧打者として知られていたが、身長172センチと小柄な部類に入ることから目立つ存在ではなかった。就職活動で10社以上の企業から採用を見送られたが、社会人野球・セガサミーへ入社。主軸として活躍し、2013年にドラフト6位でDeNAに入団してサクセスストーリーを切り拓いた。

交流戦でも高打率をマーク


 6月には国内FA権を取得。球界屈指の打撃技術でなく、18年にはゴールデン・グラブ賞を獲得するなど三塁の守備も向上している。FA権を行使すれば、複数球団の争奪戦になることは間違いないだろう。

「セ・リーグの三塁は巨人が岡本和真ヤクルト村上宗隆阪神大山悠輔と強打者たちがそろっているので、需要を考えるとパ・リーグのほうが人気だと思います。変化球の配分が多いセ・リーグに比べ、パ・リーグは150キロを超える直球で力勝負の投手が多いですが、宮崎は速い球への対応を得意としているので不安はないでしょう。今年の交流戦でも打率.315をマークしています。三塁のレギュラーが固定できていないソフトバンクは補強ポイントに合致しますし、他の球団も獲得に乗り出す可能性も十分にある。DeNAも必要な不可欠として当然慰留するでしょう。オフの動向が注目されます」(スポーツ紙記者)

 シーズンは残り15試合。リーグ優勝の可能性は消滅し、CS進出も厳しい状況だが、最後まで応援してくれるファンに向けてヒットメーカーは打ち続ける。

写真=BBM
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