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ドラフト2位の“最高評価”選手。ウエーバーで真っ先に指名された過去10年の選手の成績は?

 

リリーバーとしてチームに欠かせない存在となっているDeNA・三嶋は2012年のドラフトで2位指名


 現在のドラフトは2位指名からウエーバー方式で、ドラフト1週間前時点での最下位球団から指名が行える(セパどちらの最下位チームが先に指名するかは1年おきに変更)。1位指名と違って競合しないため、複数のチームが狙っている優秀な選手も、確実に指名することが可能だ。では、ある意味「選び放題」の状況の中で最初に指名された選手は、プロでどのような成績を残しているのだろうか?

全員が活躍できているとは言い難く……


 今回は、過去10年、2011年から2020年までのドラフト会議を対象に、最初に2位指名された選手の成績をまとめてみた。
※現役選手の成績は2021年10月7日終了時のもの。
※( )内は指名チーム

2011年のドラフトでロッテに2位指名された中後はのちにアメリカ球界に挑戦した


●2011年
中後悠平(ロッテ)※2019年引退
通算成績:49試合2勝2敗7H9HP 防御率5.09

 2011年ドラフト2位では、最初にロッテが近大の中後悠平を指名。大学野球で活躍したことで即戦力としても期待され、1年目から開幕3戦目で起用されるなど期待も高かった。しかし、2年目以降はケガの影響もあって不振に陥り、2015年に戦力外となった。以降はMLB挑戦を経てDeNAに入団するも、思うような活躍ができずに2019年限りで引退した。

●2012年
三嶋一輝(DeNA)
通算成績:315試合30勝30敗40S45H62HP 防御率4.38

 2012年ドラフトでは、DeNAが2位で法大の三嶋一輝を指名した。チームの期待も大きく1年目から主に中継ぎで起用されたが、リーグトップの与四球率を記録するなど制球に課題を残した。その後は大きなインパクトが残せないシーズンが続いたが、2018年に救援だけで7勝と活躍すると、2019年は中継ぎの柱として71試合に登板。昨季はクローザーとして18セーブを挙げるなど、もはやチームに欠かせない存在となっている。

●2013年
浦野博司(日本ハム)※2020年引退
通算成績:101試合18勝13敗7S16H19HP 防御率3.87

 社会人野球での活躍が評価されて日本ハムに2位指名されたセガサミーの浦野博司は、1年目から7勝4敗と新人ながら上々の成績を残した。翌2015年は出場機会を逸し、12試合で3勝、2016年は負傷でシーズンを棒に振るなど成績が下降していった。2018年、2019年と中継ぎでの起用が増えたが、登板機会がさらに少なくなったこともあり2020年限りで現役を引退した。

2014年のドラフトでヤクルトに2位指名された風張は今季DeNAでプレーした


●2014年
風張蓮(ヤクルト)※今季はDeNA所属
通算成績:93試合2勝4敗5H7HP 防御率5.91

 北海道学生野球リーグで通算16勝3敗、防御率1.69と優秀な成績を残し、2014年ドラフトでは2位指名されヤクルトに入団した東農大北海道オホーツクの風張蓮。3年目までは一軍登板機会も少なかったが、2018年にプロ初勝利を記録すると、そこから中継ぎでの起用が増加。自己最多となる53試合に起用された。しかし、以降は一軍で打ち込まれるシーンが増え、登板機会も減少。2020年に戦力外となったが、同年12月にDeNAと契約し、今季は5試合に登板したが10月5日に戦力外通告を受けた。

●2015年
吉持亮汰(楽天)
通算成績:21試合31打数5安打 打率.161

 大商大時代は高い走力を生かして盗塁を量産し、関西六大学リーグでは史上2人目となる通算60盗塁を記録。高い身体能力が評価され、ドラフトでは2位指名で楽天に入団した。しかし、一軍での起用は2016年の21試合のみ。骨折などケガの影響もあり、満足なプレーができないシーズンが続き、2018年オフに育成選手として再契約となった。昨季は規定により自由契約となった後に再び育成で契約。今季も二軍で奮闘してはいるものの、目立った成績は残せていない。

過去5年では活躍を見せた選手や期待の有望株も


●2016年
黒木優太(オリックス)
通算成績:94試合7勝4敗2S42H49HP 防御率4.33

 立正大時代は最速153キロをマークし複数の球団から注目される逸材で、オリックスでは1年目ながら開幕一軍入りを果たした。その期待に応えるように、この年は中継ぎとして重宝され、55試合6勝3敗2セーブ25ホールド。翌2018年も再び中継ぎとして39試合に登板し、1勝1敗17ホールドの成績を残した。2019年は先発転向でさらなる飛躍が期待されたが、靭帯の骨化による炎症で離脱。トミー・ジョン手術を受けることになり、育成として再契約することになった。2020年オフには再び支配下登録を結び、今季は二軍で好投を見せている。一軍で投げる姿が見られる日も近いか。

ロッテ・藤岡は今季、攻守走でロッテの躍進を支えている


●2017年
藤岡裕大(ロッテ)
通算成績:451試合1479打数362安打14本塁打 打率.245

 亜大時代に指名漏れを経験するも、社会人のトヨタ自動車で活躍したこともあり、2017年ドラフト2位指名でロッテに入団。1年目から開幕スタメンを勝ち取ると、新人ながら123安打をマークし、全試合出場も果たした。2019年はケガの影響でたびたび離脱するも、81試合に出場。短縮シーズンとなった昨季は再びスタメンを勝ち取り、106試合に出場した。今季は打率.266をマークしており、課題のバッティング技術が向上。優勝争いをするチームに欠かせない存在となっている。

●2018年
太田光(楽天)
通算成績:220試合452打数89安打6本塁打 打率.197

 2018年ドラフトでは、楽天が2位一番手で太田光を指名。大商大では、正捕手として6度の関西六大学リーグ制覇の原動力となり、バッティングでも貢献した。楽天では当時の正捕手だった嶋基宏が不調だったこともあり、1年目から55試合に出場。翌2020年は開幕スタメンマスクをかぶり、67試合に出場した。今季はMLB帰りの田中将大とバッテリーを組んだことで「爆笑問題バッテリー」として注目を集めた。

●2019年
吉田大喜(ヤクルト)
通算成績:29試合3勝7敗1HP 防御率5.22

 日体大や大学日本代表で活躍したこともあり、2019年ドラフトではヤクルトが2位で指名。1年目ながらオープン戦や練習試合で起用されるも、残念ながら開幕一軍とはならず。その後は7月17日の広島戦でデビューを飾り、8月にはプロ初勝利を記録。全14試合に先発で登板したが、残念ながら2勝7敗と結果は残せなかった。2年目の今季は、開幕から中継ぎで起用されるも、防御率5.24と苦しんでいる。

●2020年
元謙太(オリックス)
通算成績:一軍出場なし

 2020年ドラフトでは、2位一番手のオリックスが元謙太を指名した。中京高時代は2年時に夏の甲子園に出場。準々決勝で逆転満塁弾を放つなどインパクトを残した。高校通算では18本塁打を放っており、複数の球団が獲得を検討していた逸材だ。今季は高卒新人ながら二軍最多の111試合に出場。.138と打率は低いものの、4本塁打、30打点とこちらはチームトップの数字。将来の四番候補として注目の選手だ。

 ドラフト2位で最初に指名された選手の成績をまとめてみた。最優先で指名できるため、黒木優太など複数のチームが注目していた選手を真っ先に獲得できた例もある。しかし、有利な状況で獲得した選手でも残念ながら全て活躍できているとは言い難い。果たして今季のドラフトでは、どんな選手が2位一番手で指名され、どのような成績を残すのか注目だ。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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