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JR東日本12年連続都市対抗出場の原動力に。巨人2位・山田龍聖が「急成長した」要因は何か?

 

フル回転で左腕を振る


JR東日本は12年連続24回目の都市対抗出場。原動力となったのは入社3年目の左腕エース・山田龍聖巨人ドラフト2位)だった


 神宮球場のマウンド上で、両手を突き上げた。10月12日。1点をリードした10回裏、JR東日本のエース左腕・山田龍聖(高岡商高)は明治安田生命の打線を三者凡退に抑えた(5対4)。ラスト1枠の東京第4代表で、12年連続24回目の都市対抗出場を決めている。

 今予選は7戦中5戦(先発3試合)に登板するフル回転だった。ハイライトとなったのが、セガサミーとの第3代表決定戦(10月11日)。山田は3対3の9回から救援すると、延長18回に決勝ソロを浴びるまで、9回1/3を投げた。魂の146球も、勝利に結びつけることはできなかった。JR東日本は3対4で5時間23分の激戦を落とし、あとがなくなった。

 この第3代表決定戦のプレーボールから6分後、山田はドラフト会議で巨人からの2位指名を受けていた。自身の進路を喜んでいる場合ではない。翌12日には、明治安田生命との第4代表決定戦が控えていた。疲労がない、と言えばウソになるが、逃げ場はない。山田はラストゲームに向け、万全の準備を進めた。

 明治安田生命に2点をリードして迎えた8回裏。JR東日本はミスで1点差とされ、なおも無死三塁とピンチが続いていた。この流れを断ち切るには、山田しかいない。JR東日本・浜岡武明監督は山田本人から「行けます!」とコンディションを確認した上で、マウンドへ送った。「都市対抗で優勝するためには、ここで、抑えないと」。しかし、指揮官は「同点まではいい」と過度な要求はしなかった。山田は犠飛により4対4とされたが、後続をしっかり抑えている。そして、延長に入った。

 10回表、JR東日本は主将・渡辺和哉(専大)の適時打で1点を勝ち越す。山田はその裏、力で圧倒し、大一番を締めた。5対4。それが、冒頭のマウンド上での歓喜である。

 山田は高岡商高で3年夏の甲子園で16強進出。春夏連覇を遂げる大阪桐蔭高との3回戦では11奪三振、3失点に抑えた(試合は1対3で敗退)。全国舞台での好投が認められ、侍ジャパンU-18代表でもプレーしている。

大人のピッチング


都市対抗東京二次予選では7試合中5試合に登板。明治安田生命との第4代表決定戦(10月12日)で、好救援により出場を決めると、試合後には表彰を受けた


 高卒で入社したJR東日本では1年目に太田龍(現巨人)、2年目には伊藤将司(現阪神)と主戦の背中を見てきた。3年目の今シーズンは、浜岡監督が「急成長した」と明かすように、自らでエースの立場を手にしたのだ。

 153キロサウスポーが飛躍した要因は何か。現役時代に捕手だった浜岡監督は、バッテリー目線でこう語る。

「『大人のピッチング』ができるようになりました。真っすぐ一辺倒だったのが、チェンジアップ、スライダーをうまく使えるようになった。この1年をかけて、分かったということです」

 都市対抗本戦は、頂点まで5試合。JR東日本として10年ぶりの黒獅子旗を手にするためにはエースとして、先発と救援で3試合以上は投げなければならない。浜岡監督は東京ドームで勝ち上がるため、今予選では21歳左腕に対し、あえて厳しい場面で起用してきた。

 指揮官の期待に応えた山田は、風格十分。ドラフトを経て、良い方向に作用している。

「指名されたからには、それなりの責任が出てくる。現状に満足することなく、少しずつ成長できるようにしていきたいです」(山田)

 チームの勝利のために腕を振る。山田には責任感と、自覚がにじみ出ていた。巨人は、頼もしい即戦力左腕を獲得することができた。

文=岡本朋祐 写真=井田新輔

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