得点力が課題の中日
野球評論家の
立浪和義氏が中日の来季監督に就任することが決定的となっている。その中で一番の懸案事項がビシエドの去就だろう。
与田剛監督就任3年目の今季は5位に低迷。その原因は貧打に尽きる。リーグワーストの399得点。5球団より100点以上少なく、リーグトップの
ヤクルトの605点より200点以上少ない。新外国人の
ガーバーは12試合出場、打率.156、0本塁打、1打点と5月中旬以降はファーム暮らしが続き今季限りで退団。正捕手に定着した
木下拓哉は打率.271、11本塁打と及第点をつけられるが、
高橋周平、
京田陽太、
阿部寿樹と主力として期待された選手たちが軒並み不振だった。
大島洋平は打率.290、1本塁打、32打点とチャンスメークするが、走者をかえす役割は四番・ビシエドに負担がかかった。
立浪氏は8月中旬に週刊ベースボールのコラムで、「どうしても得点力はビシエド選手頼みになり、他チームからすれば、彼だけを警戒すればいい、となっています。クリーンアップは今、三番に大島洋平選手を置いています。彼は打率も高いし、三番で悪いというわけではないのですが、タイプ的には一番でしょう。しかも、彼を三番に置くことで一、二番が手薄になっています。やはりクリーンアップにはもう一人、長打力があり、相手チームから警戒される選手を置きたいですね」課題を指摘している。
在籍6年目を迎えたビシエドは8月27日の
巨人戦(バンテリン)で、2回二死二、三塁の好機に2点中前適時打を放ち、NPB通算450打点に到達。球団の外国人打者の最多打点記録を更新した。
アロンゾ・パウエル打撃コーチの記録を塗り替える球団の外国人打者最多のNPB通算769安打にも到達した。ただ相手バッテリーのマークが集中している影響もあり、打率.275、17本塁打、70打点。本人はこの数字に納得していないだろう。
四番を託されたビシエドだが、本来の打撃スタイルは広角にライナー性の打球を飛ばす中距離打者だ。2018年に打率.348、26本塁打、99打点で首位打者と最多安打(178本)のタイトルを獲得。19年も打率.315、18本塁打、93打点をマークし、二塁打43本はリーグトップの数字だった。
「今年のビシエドは自分が長打を打たなければという責任からスイングが大きくなっているように感じる。本来はスイングがコンパクトで変化球への対応が巧いアベレージヒッターだと思います。ホームランバッターがいれば、負担が軽減されて打率や打点が自然と上がると思います」(スポーツ紙デスク)
名古屋には愛着
ビシエドは今季限りで3年契約が切れる。球団への愛着は強く、家族で暮らす名古屋での生活も気に入っている。シーズンが終わると帰国する外国人選手が多い中、オフの球団納会やファンフェスタに参加したことも。中日ファンからは「生涯ドラゴンズでいてほしい」と残留を熱望する声が高まっている。
ただ、昨年から続くコロナ禍で各球団は新外国人が期待外れの成績に終わるケースが目立つ。日本で実績のあるビシエド魅力的な選手で、今オフは複数球団による争奪戦の可能性もある。立浪ドラゴンズは「ビシエド残留」が今オフの大きなテーマになりそうだ。
写真=BBM