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2000年以降はいまだ0人。牧秀悟は令和初の「新人3割打者」になれるのか

 


 現在のDeNA打撃陣をけん引しているのが、新人ながら四番に座る牧秀悟だ。10月23日現在の成績は135試合に出場して打率.308、22本塁打、70打点。この数字を最後まで維持し、1年目での3割打者になってもらいたいところだ。では、過去に1年目で3割を記録した選手は何人いるのだろうか? 今回は「新人3割打者」について調べてみた。

新人3割打者は1リーグ時代を含め11人


「1年目で3割以上を記録した選手」を、1リーグ時代を含めて調べたところ、以下の11人が該当した。

阪田清春(阪急/1944年)打率.310
田川豊(グレートリング/1946年)打率.341
飯島滋弥(セネタース/1946年)打率.312
広岡達朗(巨人/1954年)打率.314
渡辺清(阪急/1955年)打率.303
長嶋茂雄(巨人/1958年)打率.305
石毛宏典(西武/1981年)打率.311
横田真之(ロッテ/1985年)打率.300
清原和博(西武/1986年)打率.304
坪井智哉(阪神/1998年)打率.327
高橋由伸(巨人/1998年)打率.300

 1リーグ時代は3人。日本プロ野球初の「新人3割打者」は阪田清春で、開幕から主力として起用され、打率ランキング6位となる.310を記録した。また、1946年には田川豊と飯島滋弥がともに新人ながら3割をマーク。特に田川はトップに.006差の2位と首位打者まであとわずかだった。

2リーグ制以降の新人では最高の打率.327をマークした阪神・坪井智哉


 2リーグ制以降では8人の「新人3割打者」が誕生した。1958年の長嶋茂雄は本塁打王と打点王の二冠に輝き、打率もリーグ2位。ベース踏み忘れでの新人トリプルスリー未遂は有名だが、新人三冠王という恐るべき記録にもあと一歩まで迫っていた。直近では1998年の坪井智哉と高橋由伸が挙げられる。特に坪井は新人とは思えないバットコントロールで安打を量産し、2リーグ以降の新人では歴代最高となる.327をマークした。坪井は「規定打席到達の新人選手で併殺打0」という唯一無二の記録も打ち立てている。

 ちなみに、DeNAは前身時代を含めても新人3割は出ておらず、もし牧が3割のまま全日程を終えた場合は、球団初の快挙となる。また、新人での打率3割、本塁打20本以上は長嶋茂雄、石毛宏典、清原和博の3人のみ。牧はここまで22本で本塁打はクリア。後は打率を残すのみだ。

新人3割まであと一歩だった選手は?


 過去には、早々たるメンツが新人3割をあと一歩のところで逃している。例えば、元祖安打製造機として、数々の最年少打撃記録を打ち立てた榎本喜八。1年目から139試合に起用され、146安打をマークしたが、打率は.298と3割には届かず。また、岡田彰布二岡智宏赤星憲広などの選手も、あと数本安打が出れば3割というところまで迫っていたが、残念ながら3割には届かなかった。

 最も3割に迫ったのがサンケイアトムズの武上四郎だ。1年目から持ち前のバッティング技術を武器に安打を量産。しかし打率は.299と3割までわずかに及ばず。ランニング本塁打でプロ初本塁打を記録するなどインパクトのある活躍を見せたが、新人3割打者にはなれなかった。

 直近では昨季の楽天小深田大翔が打率.288を記録。2000年以降では赤星憲広、梵英心長野久義に次いで高い打率で、パ・リーグ新人王にも輝いた。

 今季は1年目ルーキーの躍進が目立っており、新人王争いも混戦模様だ。現在のところ、防御率0点台、35セーブと圧巻の数字を残す広島栗林良吏がセ・リーグ最有力とされているが、牧もまだ新人王の可能性を残している。新人王に近づくためにも、ぜひとも史上12人目の「新人3割」を達成してもらいたい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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