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大学野球リポート

早川隆久、山下輝をお手本に。“別格”でのドラフト1位を目指す法大1年生右腕・篠木健太郎

 

大学進学を選択した背景は?


法大の1年生右腕・篠木健太郎は東大2回戦(10月24日


 高校時代に最速150キロを計測し「関東No.1右腕」と、高い評価を受けていた。仮にプロ志望届を提出していれば、ドラフト指名が有力視されていたのが、法大・篠木健太郎(1年・木更津総合高)である。

 大学進学を選択した背景は?

「プロは考えませんでした。早川さんのように、チームの戦力として認められたレベルを身につけた上でプロ入りしたい。仮に18歳の自分が入ったとしても、戦力になれる自信はありません。そのためにも、大学4年間は大事だと思います」

 身近にお手本がいた。木更津総合高で4学年上の早川隆久(早大−楽天1位)と、3学年先輩の山下輝(法大−ヤクルト1位)だ。

 篠木は小学校時代から「東京六大学」で投げる夢を描いていた。中学2年で明確な目標となり、その年、早川を擁する木更津総合高が春夏連続で甲子園8強進出。あこがれの早川が早大、翌年には山下が法大へ入学した進学実績を見た上で、篠木も同じルートを歩みたいと考え、木更津総合高へ進学したという。

 教育熱心な家庭で育った。中学時代は3年間、学業成績はオール5の超優等生。木更津総合高でも、野球部員のほとんどが在籍するスポーツコースではなく、3年間、特別進学コースで文武両道を実践した。

「本来は小学1年生から野球を始めたかったんですが、しっかりとした成績を残してからでないとダメだ、と、3年生からになりました。中学時代も学年順位で1ケタをキープできなければ、館林ボーイズの練習には行けない、と。野球を続けるためには、勉強をする必要がありました。学ぶことによって見える世界も変わる。両親には感謝しています」

 木更津総合高では1年夏の甲子園3回戦(対下関国際高)で救援登板し、早くから脚光を浴びた。2年秋の県大会敗退以降は、主将として鼓舞。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた、昨年の活動自粛期間。篠木は地元の群馬・館林を拠点としながらも、感染予防を徹底した上で、木更津総合高グラウンドで自主練習を行った。法大・山下も同校で汗を流しているという情報を聞きつけ、投球技術だけでなく、トレーニング法も吸収した。

 甲子園大会中止を受けた昨夏の千葉県高野連主催の独自大会で優勝。篠木は計30イニングで2失点と抜群の安定感で、有終の美を飾っている。高校2年の11月末に法大の練習を見学し、「木更津総合のときもそうでしたが設備、雰囲気を見て、ここでやりたいと、ピンときました」と同校への進学を決めた。

 今秋に神宮デビュー。2試合の救援登板を重ね、最速は155キロにアップした。初先発した東大2回戦では打線の援護に恵まれなかったが、6回3安打無失点と試合を作った。

来春以降の「期待感」


 大きく振りかぶるワインドアップから、左足を大きく上げ、二段モーションでタイミングを取る。勢いをつけて打者へ投じる、ダイナミックなフォームは個性的だ。

「もともと反動を使って投げてきましたが、より長所を生かせるように。誰かを参考にしたとかはなく、自分の感覚でやっています」

 この日の最速は147キロ。130キロ中盤の直球もスピンが利いており、手元で伸びる。得意のスライダーにカーブ、カットボール、チェンジアップと器用に操ることができる。

 背番号は1年春から3年秋まで主将・三浦銀二(4年・福岡大大濠高、DeNA4位指名)が着けてきた「26」を、篠木自ら希望した。尊敬する先輩の出世番号を背負い、今後の飛躍を固く誓う。今年2月に取材した際、4年後の展望をこう語っていた。

「今の自分の立場で言うのも失礼なのは承知していますが、早川さんに並び、超えたい存在です。思考力がすごい。昨年秋の早川さんは、何もかもが別格でした(6勝0敗、防御率0.39)。4年生になって『篠木も別格』と言われるような投手に進化し、ドラフト1位で指名されるように、努力したいです」

 法大・加藤重雄監督は、三浦と山下の両輪が卒業する来春以降の「期待感」をこう語る。

「仮に勝ち点制(2勝先勝)に戻った場合、(1勝1敗となった)土(1回戦)、月曜(3回戦)の先発を任せられるようなエースになってほしい。先発完投が投手の醍醐味。気持ちも技術も、スケールの大きな投手を目指してもらいたいです」

 東大2回戦で初白星こそつかなかったが、篠木、加藤監督とも「収穫」と振り返った。155キロの逸材には、多くの魅力が詰まっている。

文=岡本朋祐 写真=長岡洋幸
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