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ヤクルト・中村悠平に「リーグ優勝すればMVP級の活躍」と称賛の声が

 

15年の優勝にも貢献



 2年連続最下位に低迷していたヤクルトの優勝マジックがついに2となった。2015年以来6年ぶりの優勝が見えてきた中、選手個々の活躍が光る。塩見泰隆は一番に定着して大ブレーク。山田哲人も昨季はコンディション不良で94試合出場にとどまったが、今季は試合に出続けて34本塁打をマーク。そして、不動の四番・村上宗隆は球界を代表する強打者に進化した。自己最多の39本塁打、112打点で2冠王を狙える位置に。MVPに最も近いと言えるだろう。

 ただ、この男の存在なくして、ヤクルトの現在の快進撃はない。正捕手の中村悠平だ。スポーツ紙記者はこう分析する。

「中村にとって今年は野球人生をかけたシーズンだったでしょう。悔しい思いをしてきて期する思いがあったはず。投手を強気で引っ張るだけでなく、俯瞰した冷静な視点も持てるようになり、打者心理を利用した配球ができるようになった。打撃でも二番、六番とポイントになる打順で貢献度は高い。攻守でMVP級の活躍だと思います」

 15年に正捕手に定着し、136試合出場で初の規定打席に到達。14年ぶりのリーグ優勝に貢献し、ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞を獲得した。侍ジャパンにも選出されたが、その後は試練が待ち受けていた。リード面で配球を指摘されて試合途中での交代が目立つようになり、チームも低迷。それでも15年以来5年連続100試合以上出場してきたが、昨年は29試合出場と激減した。開幕戦当日の練習中に上半身のコンディション不良を訴えて戦線離すると、リハビリを経て8月20日に一軍復帰したが、9月9日の広島戦(マツダ広島)で走者とのクロスプレーにより負傷交代し、再び登録抹消。チームも2年連続最下位に沈んだ。

 30代となり、結果を出さなければ若手に取って代わられる立ち位置になった。今季から背番号を「2」に変更したのも意気込みの表れだった。2月の春季キャンプでは臨時コーチで訪れた球団OBで元監督の古田敦也氏に、捕手としての心構え、技術、配球について貪欲に学んだ。

高い打撃での貢献度


 奥川恭伸高橋奎二など成長著しい若手たちに対して時には奮起を促す言葉をかけ、時には笑顔で称賛して力を引き出す。課題だった打撃でも春先は二番を務め、6月以降はオスナサンタナの両外国人に挟まれる形で六番に。状況に応じてチャンスメーク、小技で走者を進め、走者がたまった場面ではポイントゲッターになる。10月24日現在で打率.279、2本塁打、34打点。出塁率も.361と打撃での貢献度も非常に高い。

 芸能界きっての野球通で知られるタレントの中居正広は週刊ベースボールのコラム「中居正広のとことん野球好き」で中村について絶賛している。

「僕、今シーズンのヤクルトの躍進って中村悠平の存在がすごく大きいんじゃないかなって思っているんです。昨シーズンとは異なり、キャッチャーがしっかりと固定されているからこそ、チーム自体にどっしりとした安定感がありますよね。打線でも中軸を担って、2割9分の打率を残していますし、攻守にわたって欠かせないキーマンになっています」。

 15年にリーグ優勝を飾った当時は25歳。怖いモノ知らずの若武者ならではの勢いがあったが、円熟味が増した現在は地に足がつき、扇の要として安心感がある。ただ、勝利に貪欲なギラギラした目は変わらない。攻守でチームを牽引し、ラストスパートをかける。

写真=BBM
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