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村田兆治、石井一久、新垣渚…通算100回到達はわずかに3人。意外と知らない「暴投」の歴代記録

 

 西武高橋光成は、今季自己最多の11勝をマークしているが、それ以上に目立つのが「暴投」の数だ。ここまで13暴投で、これは両リーグ最多。プロ2年目の2016年にも12暴投を記録しており、通算44暴投はプロ7年目ながら現役13位だ。では、歴代・現役最多は誰なのかご存じだろうか? 今回は、意外と知らない「暴投」の記録を紹介する。

歴代最多はマサカリ投法のあのレジェンド



 まずは暴投数の歴代Top10を以下にまとめてみた。

第1位 村田兆治 148回(通算3331.1イニング)
第2位 石井一久 115回(通算2153.1イニング)
第3位 新垣渚  101回(通算1077.1イニング)
第4位 前田幸長 84回(通算1577イニング)
同4位 涌井秀章 84回(通算2541イニング)
第6位 工藤公康 81回(通算3336.2イニング)
第7位 川口和久 79回(通算2410イニング)
第8位 槙原寛己 75回(通算2485イニング)
第9位 星野伸之 74回(通算2669.1イニング)
同9位 伊良部秀輝 74回(通算1286.1イニング)

 歴代最多は148回の村田兆治。マサカリ投法と呼ばれる豪快なフォームから放たれる豪速球と決め球のフォークで数々の大打者を打ち取ってきたレジェンドだ。なぜ村田の暴投が多いのかというと、村田は基本的にノーサインで投球していたからだ。そのため捕手は安定してキャッチできず、さらにフォークのキレがすごすぎて受け止めきれないシーンも増え、暴投数が増えてしまった。

ヤクルト・石井一久


 歴代2位は石井一久で115回。こちらの場合は単純に制球にムラがあったことが大きい。もともと制球が課題の投手ではあったが、当時の日本記録であるシーズン20暴投を記録した1998年からさらに好不調の波が大きくなった。この年を含めてシーズン最多与四球を3度記録するなど制球が乱れるシーンも増え、暴投数も増加。最終的に歴代2位の暴投数を記録することとなった。

ダイエー・新垣渚


 歴代3位は通算101回の新垣渚。新垣も石井と同じように球速はあるがコントロールが課題だった投手。決め球のスライダーは村田のフォーク同様にキレが良すぎるために捕手がキャッチできないこともあり、暴投が記録されるシーンが多かった。特に2007年は1試合4暴投のNPBタイ記録を記録するなど制球に苦しみ、終わってみればシーズン25暴投のNPB記録を更新してしまった。また、新垣は通算1077.1イニングと村田の3分の1以下のイニング数で101回の暴投を記録。当時の王貞治監督に「暴投王」と呼ばれたこともあったが、暴投の頻度でいえば村田を超えてNPBトップといえるだろう。

 4位以下も星野伸之をはじめとするキレのある変化球を投じていた投手や、伊良部といった直球は速いが荒れ球の投手がランクインしている。このうち、唯一の現役が4位の涌井秀章。当然ながら現役でも最多暴投数だ。長くプレーしていることもあるが、2008年にはシーズン11暴投を記録するなど、西武時代はボールが荒れる場面も目立った。

 暴投のシーズン最多記録は新垣の25回で、それ以前は石井が1998年に記録した20回がNPB記録だった。では、石井以前は誰だったのかというと、村田兆治と酒井弘樹が持つ17回がNPB最多記録だった。通算暴投数の歴代Top3は、シーズン暴投記録でも仲良くワンツースリーに入っていることになる。ちなみに村田と並ぶ17暴投の酒井は近鉄でプレーした選手で、プロ3年目の1996年に17暴投を記録。しかし、以降はケガや不振から活躍できず、通算33暴投で引退している。

 通算暴投数100回以上は、長いNPBの歴史の中で村田兆治、石井一久、新垣渚の3人のみ。また、現役最多は楽天の涌井で通算84回となる。冒頭でも挙げた西武の高橋はプロ7年目で44暴投と、実はかなりの好(?)ペース。もし荒れ球が修正されなければ、歴代Top
上位に食い込む可能性もあるだろう。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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