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「幹部候補」の可能性を秘めた逸材。国学院大・福永奨を3位指名したオリックスは最高の補強

 

MVPを初受賞


国学院大の主将・福永奨オリックス3位指名)は、部史上初の「春秋連覇」の立役者となった


 オリックスは25年ぶりのパ・リーグ制覇。山本由伸を筆頭に、ドラフトで獲得した選手が飛躍し「育成力」の高さを証明した。

 10月11日のドラフト会議では育成選手3人を含め10人を指名した。唯一の捕手補強となった国学院大・福永奨(4年・横浜高)は「幹部候補」の可能性を秘めた逸材と言える。

 この秋、東都大学リーグ戦で春秋連続優勝を遂げた(2季連続3度目)。国学院大として初の連覇を支えたのは、言うまでもなく福永だった。「主将・四番・捕手」は文字どおり、大黒柱として、MVPを初受賞している。

 正真正銘のチームリーダー。多くの役割が託され、負担にならないのか? 国学院大・鳥山泰孝監督はこう見解を示している。

「背負っている感覚ではなくて、力に変えるだけの、人間としての器がある。一方で、仲間に恵まれ、周りの4年生が協力してくれた」

 自然と周囲がサポートする流れができるのも、福永の人としての魅力があってこそ。MVP受賞に際しても「自分一人の力で取ったわけではない。竹田(利秋)総監督、鳥山監督、上月(健太)コーチのご指導のおかげです」と感謝を口に。常に自己犠牲のスタイルで、もり立てることに専念。「全員で戦っていきたい」。こうしたキャプテンの人柄が、チームを一つにしたのは言うまでもない。

 国学院大は長らく、東都二部リーグを主戦場にした時代があった。この状況に風穴を開けたのは、2006年春だった。主将・捕手の嶋基宏(現ヤクルト)が攻守でけん引し、1993年春以来となる一部復帰へと導いた。嶋は国学院大の「一部安定勢力」の礎を築く功労者となり、10年秋のリーグ戦初制覇へとつなげた。

 説明するまでもなく、嶋はプロ入り後、NPBにおいて球団の枠を超え、選手会会長を歴任するなど、多大な影響力を発揮してきた。

 福永も2021年、国学院大学野球部の歴史に名を刻んだ。強肩強打の司令塔にも、実力に加えて、球界をけん引するだけのポテンシャルがある、と見ている。つまり、こうしたキャラクターとは、鍛えてできる能力ではないということだ。オリックスは中・長期的なチーム強化において、最高の補強をした。

文=岡本朋祐 写真=菅原淳
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