週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

史上初の前年最下位から両リーグ優勝 ヤクルト、オリックスに「黄金時代」の期待が

 

“忍耐”の高津監督


ヤクルト・高津監督


 前年最下位だったヤクルト、オリックスが共にリーグ優勝。前年最下位のチームが両リーグ優勝するのは史上初だった。

 ヤクルトは2015年以来6年ぶりのリーグ優勝だ。5年間でBクラス4度、そのうち最下位が3度と低迷期に入っていたが、就任2年目の高津臣吾監督が見事に立て直した。絶対的エースがいないのを逆手に取り、状態の良い投手を先発に起用した。シーズン終盤の10月の先発投手を見ると、原樹理高梨裕稔石川雅規小川泰弘サイスニード奥川恭伸高橋奎二金久保優斗と21試合で8投手が登板。13勝6敗2分と大きく勝ち越して、猛追する阪神を振り切った。

 15年にヤクルトの監督としてリーグ優勝を飾った野球評論家の真中満氏は週刊ベースボールのインタビューで、高津監督の手腕を高く評価している。

「高津監督は就任2年ですが、その采配をひと言で表現すると“忍耐”です。特に言えるのは、投手起用の部分ですね。勝負どころの10月に入って清水(清水昇)、マクガフの4連投がありました。ですが、登板過多で投げさせないと決めた清水をベンチ外にするなど、投手の疲労度を考えた思い切った決断も。先発を引っ張りたくない場面でも、続投を選択することもあり、それらに“忍耐”を感じました。これは投手出身だからこそできる采配でしょう」

 スポーツ紙デスクも「ヤクルトの強さは来季以降も続く予感がする」と分析する。

「先発陣は石川、小川に依存していた奥川、高橋が台頭してきて一気に強力になった。救援陣も清水、今野龍太石山泰稚、マクガフを高津監督が柔軟な起用法で力を発揮させていた。野手も不動の四番に成長した村上宗隆、リードオフマンの塩見泰隆、捕手の古賀優大と有望な若手が多い。山田哲人中村悠平も選手としてさらに円熟味が増す時期に入っている」

中嶋監督の育成手腕


オリックス・中嶋監督


 一方、パリーグのペナントレースを制したオリックスは、エースの山本由伸が18勝5敗、防御率1.39、大ブレークした左腕・宮城大弥が13勝4敗、防御率2.51と2枚看板の活躍が大きかった。

 中嶋聡監督の育成手腕も高く評価されるべきだろう。高卒2年目の紅林弘太郎が遊撃のレギュラーに定着し、二軍監督時代から潜在能力を評価していた杉本裕太郎を主軸に据えた。杉本は打率.301、32本塁打、83打点の大活躍で自身初の本塁打王獲得が確実だ。宗佑磨は三塁のレギュラーをつかみ、プロ7年目で初の規定打席に到達。攻守でチームの核になった。二塁から中堅にコンバートされた福田周平も不動のリードオフマンに成長。打線の生命線だった吉田正尚が戦線離脱しても、勝ち続けたのは育成の賜物だろう。

「山本、宮城の活躍が目立ちましたが、山崎福也田嶋大樹、ケガで戦線離脱している山岡泰輔とオリックスはエースになる力を持った選手がゴロゴロいる。今まではリーグ優勝から遠ざかっていたので自分たちの力に手応えを持てなかったかもしれないが、今年の優勝で大きな自信をつかんだでしょう。勢いのある若手が多いのでこれからが楽しみです」(スポーツ紙元オリックス担当記者)

 ヤクルト、オリックスがどん底からはい上がり悲願のリーグ優勝を果たしたが、まだ戦いは続く。クライマックスシリーズ、日本シリーズを勝ち抜いて日本一へ。勢いだけではない。短期決戦でも「本物の力」を証明する。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング