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4年間で「盗塁成功率10割」&「無失策」慶大・渡部遼人を4位指名したオリックスは最高の補強

 

初のベストナインを受賞


慶大・渡部遼人オリックス4位)は早大2回戦で通算24個目の盗塁を決めた。「成功率10割」で4年間8シーズンを終えている


 170センチ67キロ。体格だけを見れば、神宮でも決して目立たないが、この数字に、だまされてはいけない。試合が始まると、慶大・渡部遼人(4年・桐光学園高)は攻守走のスピードで、抜群の存在感を披露する。

 ドラフトではオリックスが4位指名。野球をよく知っており、3拍子で試合を動かすことができる。プロでもベンチに欠かせないピースとして働くはずで、最高の補強と言える。

 50メートル走5秒9。俊足を生かした中堅守備では前後左右と、どんな打球にも追いつく。神宮では、すでに語り草となっている「渡部エリア」だ。今シーズンも長打、安打性の当たりを、いくつアウトにしたことか。

 走塁においても相手のスキを突き、次塁を果敢に狙う。課題だった打撃は、今年1年間で著しく向上。34年ぶりの日本一を遂げた全日本大学選手権で首位打者賞(打率.563)を獲得すると、今秋は自身初の打率3割超え(.359)で、7打点と勝負強さを発揮。理想のつなぎ役である不動の二番は、春秋連覇に貢献し、初のベストナインを受賞した。

「取り組んできたことが、リーグ戦の中で表現できたことは素直にうれしい。監督(堀井哲也監督)からは『優勝メンバーがベストナインだ』と言われてきました。9人だけでなく、ベンチ入りメンバー、サポートしてくれた部員、全員で優勝できたことが良かった」

 渡部の最大の功績は、4年間8シーズンで失敗ゼロの24盗塁。成功率「10割」を誇る。

「そこは、1年時から自信を持ってやってきました。とにかく、チャンスをつくる意味で走っている。アウトにならず、チャンスをつぶさずに、流れを持っていける選手に近づけたのかな、と。アウトにならなかったことは一つ、自信にしていきたいと思います」

 77試合出場で失策0。守備率も10割と、渡部には2つの「ノーミス」という栄冠がある。

「個人的にはうれしいですが、神宮大会へ前を向いていきたい」

 慶大はこれで春季リーグ戦、大学選手権、秋季リーグ戦と3つのタイトルを獲得した。東京六大学の所属チームでは初となる「年間4冠」(1972年の関大、89、97年の近大、2002年の亜大、08年の東洋大)にチャレンジする。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
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