2021年シーズンも全日程が終了した。今季は昨年最下位だったオリックスが優勝を果たしたが、各球団で最も勝利に貢献した選手は誰になるのだろうか。パ・リーグ6球団の「今季のMVP」を挙げていく。 1位・オリックス・バファローズ
シーズンMVP候補は18勝を挙げて一人で貯金を13つくったエース・
山本由伸が濃厚だろう。ただ、打線をけん引して優勝に導いた杉本裕太郎も忘れてはならない。プロ6年目30歳の今季、自身初の開幕スタメンを手にすると5月から四番に定着。抜群の長打力で本塁打を放ちつつ、右方向へも軽打を放って、三番・
吉田正尚を生かす存在となった。その吉田正が離脱中も10本塁打を放って、シーズン32本塁打で初タイトルも奪取。課題の得点力不足を解消し、打線をけん引し続けた男の働きなくして、リーグ優勝は成し得なかったはずだ。
2位・千葉ロッテマリーンズ
5年目右腕が今季、中継ぎでポテンシャルを開花させた。ゆったりとしたフォームから150キロ超の直球を投じつつ、カーブ、シンカーを交えて打たせて取る投球で開幕から安定感抜群。
唐川侑己の故障離脱の穴を埋めてセットアッパーに定着したことで、僅差の試合をモノにできるように。不足の事態をカバーしただけでも貢献度は高いが、54試合で26ホールドに加え、中継ぎながら8勝の数字が安定した投球で攻撃にリズムを生んだことを物語る。今季最終登板となった10月27日の
楽天戦(楽天生命パーク)では8回に勝ち越し打を浴びて、V逸となる初黒星を喫して涙を流したが、そもそもこの右腕の奮闘なくして、優勝争いに加わることはなかった。
3位・東北楽天ゴールデンイーグルス
打撃成績にはキャリアハイの数字が並ぶ充実の1年となった。三番打者として開幕を迎え、4月末からは主砲・
浅村栄斗と入れ替わる形で四番へ。打率.257はチーム5位と特筆すべき数字ではないが、96打点をマークしたように、チャンスでの勝負強さが光った。得点圏打率.328はリーグトップの吉田正尚(オリックス)に次ぐ2位の好成績だ。加えて21本塁打は、球団の生え抜き選手として初の20号突破となった。球団から出される試合中のコメントでも個性を発揮し、ファンを楽しませた。キャリア10年目は、まさにチームの中心として力を発揮したシーズンと言える。
4位・福岡ソフトバンクホークス
助っ人右腕がいなければ、“投壊”はもっと恐ろしいことになっていたことだろう。開幕当初、先発ローテ陣が思うように試合をつくれない中、4月4日に今季初登板を果たしたエース・
千賀滉大が同日の試合で左足首のじん帯損傷。苦しい状況を救ったのが、5月にチームに合流した
N.マルティネスだった。遅れを取り戻すように勝利を重ね、前半戦は11試合に登板し7勝2敗、防御率2.03。その後、東京五輪アメリカ代表として銀メダルに貢献、休む間もなく後半戦へ。その後半戦も圧巻の投球内容だった。後半戦に登板した10試合はすべてクオリティー・スタート(※前半戦から合わせると18試合連続)。味方の援護がなくわずか2勝に終わり、シーズン2ケタ勝利には届かなかったが、今季の防御率1.60はリーグでもトップクラスだ。来季もぜひソフトバンクの一員として、今後はリーグV奪還を果たして喜ぶマルちゃんが見たい。
5位・北海道日本ハムファイターズ
最終盤で最下位を脱出したものの、深刻な得点力不足に苦しみシーズン通して低迷したチームの中で、安定した投球をし続けたのはエース・上沢直之だ。打線の援護に恵まれない試合も多かったが、先発ローテーションの軸として24試合に登板し自己最多の12勝(6敗)をマーク。12勝、防御率2.81はオリックスの山本由伸、
宮城大弥に次ぐリーグ3位の堂々たる成績だ。24試合中21試合クオリティー・スタート(QS)達成でQS率リーグ2位は先発投手としての信頼の大きさの証。抜群の制球力と状況に応じた変貌自在な投球で被打率も.208(リーグ2位)に抑えている。ルーキー・
伊藤大海の台頭も刺激に、1年間エースとして160回1/3を投げ切った上沢は間違いなく今季MVPの活躍だった。
6位・埼玉西武ライオンズ
投打に精彩を欠いた選手が多く、所沢移転以来、42年ぶりの最下位に終わった今季。苦しんだ1年の中、明るい話題を提供し続けて、最も力を発揮し、勝利に貢献したのは平良海馬だろう。リリーバーとして開幕から39試合連続無失点の日本記録を樹立。昨季のセーブ王・
増田達至が5月上旬に二軍落ちして代役の
ギャレットが機能しないと、平良がクローザーに。パ・リーグ史上初のシーズン20セーブ&20ホールドの偉業も達成した。夏場には東京五輪日本代表にも選ばれ、出番は少なかったが金メダル戦士の一員に。62試合に登板して、防御率0.90の成績には文句をつけることができない。
写真=BBM