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レギュラーつかんだ広島・小園海斗「来季は首位打者狙える」と高い評価が

 

惜しくも3割には届かず



 クライマックスシリーズに届かなかった広島だったが、光は差し込んでいる。大きな収穫の1つが遊撃の定位置をつかんだ小園海斗だ。

 開幕は二軍スタートだったが、4月下旬に一軍昇格すると、コンスタントに打ち続け、クリーンアップの三番を担った時期も。3割を超えていたハイアベレージは夏場に下降したが、シーズン終盤に盛り返した。「二番・遊撃」でスタメン起用された11月1日の最終戦・ヤクルト戦(神宮)で初回に中前打、5回に右前打、6回に右中間適時二塁打と安打を積み重ねて打率.299まで上昇。8回の最終打席で安打を打てば3割に到達したが、空振り三振に倒れて惜しくも届かず。それでも、自己最多の113試合出場で打率.298、5本塁打、35打点は十分に合格点をつけられる数字だろう。

「高校時代から野球センスは天才的なモノがあった。だが、プロに入ってきたときはそのセンスに頼っていたようにも感じた。淡白に見えて攻守でミスが多い。その部分が一軍から一時期遠ざかった理由だと思います。でも今は広島伝統の粘り強い選手になりつつある。小技の精度はまだまだ磨かなければいけないですが、走者をどうにか進めようと追い込まれても進塁打を打ったり、遊撃のポジショニングも考えて動けるようになったりした。来季も一、二番のチャンスメーカーを務めるでしょう。穴のない打者なので来季は首位打者も十分に狙えると思います」(他球団のスコアラー)

 報徳学園高では高校No.1遊撃手と評価が高く、ドラフト1位で4球団が競合。広島が交渉権を獲得した。高卒1年目の2019年。史上2人目となるオープン戦で複数アーチを放ち、シーズンでも58試合出場で打率.213、4本塁打、16打点をマーク。当時、広島OBで野球評論家の川口和久氏は、小園がファーム暮らししていた時期に週刊ベースボールのコラムで一軍昇格を勧めている。
 
「前回の一軍は勝敗に直結する手痛いエラーもあったし、守備の不安は本人も話していたけど、特にセカンド、ショートは最初から完璧に守れるはずはない。野村謙二郎も入ったころは下手だったが、我慢して使っていた。横浜時代の村田修一もとんでもないタイムリーエラーが多かったけど、使い続けて成長した。失策はされちゃ嫌だが、びびってるといつまでも使えない。代打で結果を出すのは、スペシャリストでも大変だしね。小園にスタメンでリベンジの機会を与えてほしいな。俺はミスも野球の魅力の一つだと思う。それを取り返そうと必死に取り組む姿もまた、ファンの心に届くと思うんだ」

どん底を味わって


 2年目の昨年は飛躍が期待されたが、3試合の出場のみ。プロは甘い世界ではないことを痛感しただろう。オープン戦、練習試合と思うような結果が残せず、開幕直前にファーム降格すると、ウエスタンリーグでも打率1割台と試行錯誤した。シーズン終盤に調子を上げたが、一軍の戦力になれなかった。

 どん底を味わっただけに、今年の活躍も小園自身に慢心はないだろう。大卒2年目の宇草孔基、同期の林晃汰羽月隆太郎と若い力が台頭している。小園がその先頭に立ち、再び黄金時代を築く。

写真=BBM
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