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背番号物語

【背番号物語】日本ハム「#2」渋い万能タイプの系譜。“ガッツ”小笠原道大は突然変異だった?

 

“東京”日本ハムでは高代が最長タイ10年


背番号「2」を着けフルスイングが代名詞だった小笠原


 一般的に俊足の選手が多く、高校野球からの流れもあってか捕手との二大勢力となっている「2」。王貞治の「1」と長嶋茂雄の「3」、V9という空前絶後の黄金時代を象徴する永久欠番に挟まれている巨人が象徴的だが、1ケタの背番号としては不遇の印象もある。ただ、独自路線の日本ハムでは、チームだけでなく、プロ野球の歴史にも名前を強く刻み込む強打者を輩出した。まだ東京ドームに本拠地を置いていた1997年から、北海道で初めてリーグ優勝、日本一に輝いた2006年まで背負った小笠原道大だ。

 ドラフト3位で入団したときに捕手ナンバーとして「2」を与えられた小笠原は、3年目の1999年には「2」のまま一塁手に転向して全試合に出場、25本塁打を放って大ブレーク。翌2000年からは長打力、安定感ともに成長を遂げて、02年から2年連続で首位打者、06年には32本塁打、100打点で本塁打王、打点王の打撃2冠、MVPに輝いた。小技も巧みな打撃という印象もある「2」で異彩を放つフルスイングは小笠原のトレードマークであり、“ガッツ”の異名そのままの豪快さ。その06年オフにはFAで巨人へ移籍したが、そのまま「2」でプレーを続けて、両リーグにまたがって2年連続でMVPに選ばれている。13年オフに中日へ移籍してからは「36」でプレーしたが、小笠原はプロ野球の「2」を代表する強打者であることは間違いないだろう。

 ただ、小笠原の存在は“突然変異”。それまでは日本ハムとしては珍しく(?)一般的な傾向に近い系譜だった。小笠原の前任は俊足を誇る外野手の鈴木慶裕だ。1年目の1989年から「2」を背負って、シーズン20盗塁を超えること3度。96年オフにダイエー(現在のソフトバンク)へ移籍するまで8年間を過ごした。

背番号「2」で新人時代にダイヤモンドグラブを受賞した高代


 鈴木の前が“東京”日本ハムの正遊撃手として長く活躍した高代延博(慎也)だ。ドラフト1位で79年に入団すると、やはり1年目から「2」を背負って、いきなりダイヤモンドグラブ(現在のゴールデン・グラブ)を受賞。身長170センチとプロ野球選手としては小柄ながら闘志あふれるプレースタイルは「2」の印象にもマッチしていた。高代は88年オフに広島へ移籍するまで「2」でプレー。さらに系譜をさかのぼると、顔ぶれの渋さも増す。

東映にも最長タイの名バイプレーヤー


 日本ハムの前身チームでは著しく不安定だった「1」と比べて、やや安定感で勝っているのが「2」。初代はセネタースとしてプロ野球に参加した46年に正捕手となった熊耳武彦は3年間、49年から二塁手の池田力が2年間。欠番を挟んで毎日(現在のロッテ)から53年シーズン途中に来た外野手の伊藤庄七が翌54年まで、その翌55年からは阪神から来た遊撃手の西江一郎が2年間とリレーして、57年から遊撃手の木村軍治が61年オフに近鉄へ移籍するまで着けて、初めて5年に届いた。

東映ひと筋で10年間、背番号「2」を着けた岩下


 プロ1年目の62年から遊撃手として活躍、東映ひと筋10年で「2」を背負って最長タイに並ぶ岩下光一から安定感を増した。「1」の大下剛史が遊撃に入れば岩下は二塁、大下が二塁に来ると岩下は三塁へ。器用な内野守備と勝負強い打撃が持ち味の名バイプレーヤーだった。岩下の引退で「2」を継承したのは黄金時代の阪急(現在のオリックス)から来た韋駄天で遊撃手の阪本敏三。近鉄へ移籍するまでの4年間ながら、東映、日拓、日本ハムの“3球団”すべての「2」を経験した。その後継者は3年だけだったが、内野と外野を兼ねた服部敏和。76年に阪本を含む大型トレードで近鉄から来て、高代が入団した79年から引退の82年までは「28」でプレーした。

 高代、鈴木、小笠原の長期間リレー、1年の欠番を経て、小笠原と同じく捕手から一塁へと転じた強打者の高橋信二が2008年に後継者となるも、11年シーズン途中に小笠原を追うように巨人へ。13年に服部も着けた「28」から現在は中日でプレーしている捕手の大野奨太が「2」となるも、3年で捕手ナンバーの筆頭格といえる「27」に。16年から現在に至るまでは服部と同じく内野も外野もこなす杉谷拳士で、チーム屈指のムードメーカーとしては「2」の新時代といえそうだ。

【日本ハム】主な背番号2の選手
岩下光一(1962〜71)
高代延博(1979〜88)
鈴木慶裕(1989〜96)
小笠原道大(1997〜06)
杉谷拳士(2016〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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