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中日・中村紀洋打撃コーチは「球界屈指の理論派」 打線全体がガラッと変わる可能性も

 

NPB通算404本塁打をマーク


若手選手を精力的に指導する中日・中村コーチ


 立浪和義新監督が就任した中日。首脳陣も刷新される中、注目度が高いのがNPBで指導者として初入閣した中村紀洋打撃コーチだ。現役時代は日米6球団を渡り歩き、NPB通算404本塁打、2101安打をマーク。狭いスタンスでバット上段に構え、足を大きく上げてタイミングを取る独特のフォームから広角に本塁打を量産した。

 2014年オフにDeNAを自由契約となり、他球団からのオファーもなかったが、自身のSNS上で「生涯現役」を貫くことを明言。「1人でも多くの子どもたちに野球の楽しさ、上達したときの喜びを伝えたい」と静岡・浜松開誠館高で非常勤コーチを務めていたほか、17年から中学硬式野球大会「中村紀洋杯」を開催するなど野球普及、アマチュア野球の指導者として精力的に活動していた。その指導理論は球界屈指と呼ばれている。

「ノリさん(中村打撃コーチ)は選手個々の良さを引き出すのが巧い。YouTubeでも発信していましたが、その野球理論はプロの選手たちも参考にしていました。中日は石川昂弥根尾昂岡林勇希と将来が楽しみな若手が多いのでノリさんの指導でどう変わるか。今年のチーム総得点は405点とリーグ断トツ最下位だった。京田陽太高橋周平ら中堅も打撃で伸び悩んでいる。少しのきっかけで打線全体がガラッと変わる可能性があるので、手腕が注目されます」(スポーツ紙記者)

 現役時代はプロ4年目の1995年に20本塁打で三塁のレギュラーに定着し、98年から5年連続30本塁打以上をマーク。00年に39本塁打、110打点で2冠王に。最下位からの逆襲を誓った01年は自己最多の46本塁打を放つ。9月24日の西武戦(大阪ドーム)で、9回にライバルの松坂大輔から右翼席へサヨナラ2ランを放った一撃は強烈だった。「いてまえ打線」の四番として12年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献。132打点で2年連続打点王に輝いた。

近鉄など日米6球団でスラッガーとして活躍した


 長距離砲として輝かしい実績を残したが、その道のりは順風満帆ではない。紆余曲折を経て、引退危機に追い込まれていた06年オフ。手を差し伸べてくれたのが当時の中日・落合博満監督だった。育成枠で契約を結ぶと、オープン戦で結果を残して背番号「99」で支配下登録される。130試合出場で打率.293、20本塁打、79打点と活躍。日本シリーズの日本ハム戦では打率.444、4打点でMVPに輝いた。あこがれの落合監督に恩返しできたことで感情が抑え切れなかったのだろう。試合後のインタビューで「本当に今年1月からいろんなことがありましたけど、本当にドラゴンズさん感謝しています。ありがとうございます」と涙を流した。

現場復帰に伝わる熱意


 中日に指導者として14年ぶりに復帰し、その熱意は伝わってくる。今月2日に名古屋市内の球団事務所で就任会見を行い、「何度か試合を拝見し、打てないというのをよく耳にしていました。いい選手がいるのでいい形で指導できれば。監督からは石川君を育ててほしいと真っ先に言われましたので、秋季キャンプからしっかり見てみたい」と言葉に力を込め、「根尾君、岡林君、右左ありますが基本は同じだと思うので見ながらアドバイスをしていきたいです」とコメント。そして、「今、低迷しているドラゴンズをいい思いをしてもらうために一人でも多く育てていきたいと思います」と誓った。

 中村打撃コーチの指導を受けた選手たちが素質を開花させ、「強竜打線」を再び実現できるか。中日ファンはその日を心待ちにしている。

写真=BBM
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