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川口和久WEBコラム

日本一を決めるタイブレークでオリックス・中嶋聡監督の策を見てみたくないか?/川口和久WEBコラム

 

先頭打者バントか畳みかけるか


小田のバスターで同点打


 今年の日本シリーズは、11月30日までに決着がつかない場合、タイブレークルールを実施することが決まっている。高校野球やオリンピックではすでにやっているが、プロでは、これが初になる。

 まあ、そうは言ってもよほどの悪天候でもない限りは実現しないだろうけどね。

 タイブレークは無死一、二塁からのスタートで、東京オリンピックのアメリカ戦で行われたが、表のアメリカが強攻で3者凡退に対し、裏の日本は栗原陵矢が送りバントで一死二、三塁としたあと、稲葉篤紀監督は甲斐拓也にスクイズではヒッティングを指示し、ライトオーバーのヒットでサヨナラ勝ちとなった。

 この際、先頭打者は送りバントがセオリーという話もあったが、それは今回の場合、ケースバイケースかな。

 最後だから両方とも一番いい投手を出してくるはずだ。明らかなバントとなれば、極端なバントシフトも敷ける。元巨人川相昌弘でもいれば別だが、あっさり成功というわけにはいかないだろう。

 今回は打順も新たなに組み直していいらしいから、出し惜しみせず先頭打者からクリーンアップクラスを並べ一気に畳みかけるという策もあるかもしれない。特に表の場合、1点だけを取ればいい、というわけにもいかないだろうからね。

 面白いなと思ったのが、9回打ち切りだったクライマックスシリーズ・ファイナルステージのオリックスロッテ戦(京セラドーム)だ。2対3とオリックスがリードされ、最後、9回裏の攻撃を迎えた。そこまでアドバンテージの1勝を含め3勝だから引き分けでもオリックスは突破が決まる。要はあと1点の攻防だった。

 まず先頭のT-岡田が出て、そのあと前の打席で犠打を決めていた安達了一だったが、1球目でバントを失敗すると強攻で無死一、二塁。いわゆるタイブレーク状態になった。

 ここで左打者の小田裕也。守備固め、代走がほとんどの男だった(初出修正)。

 当然、バントと思ったが、ロッテはかなり確認作業に時間をかけていた。

 これはロッテベンチが、中嶋聡監督が何をするか分からないと警戒したこともあるだろう。

 確かにオリックスには選択肢があった。極端に言えば、仮に追いつけず敗れても3勝1敗だしね。 

 結果的にはバントシフトの裏をかき、ここで小田が初球バスターを決め、同点サヨナラ。送りバントをしたほうがより勝利の確率は上がっていたかもしれないが、この作戦でヤクルトの高津監臣吾督も「オリックスは何をしてくるか分からない」と思ったはずだ。

 タイブレークにならなくても同様の状況は起こりうる。もし中嶋監督が日本シリーズまで考えたのなら、かなりの策士だね。

写真=BBM
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