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ヤクルト・大西広樹が語った奥川恭伸の素顔【インタビューこぼれ話】

 

奥川は11月10日のCS巨人戦で完封勝利。チームの弟分として、かわいがられている


 11月17日発売予定の『週刊ベースボール』の11月29日号で、ヤクルト大西広樹のインタビューを掲載する。わずか30分の電話取材だったが、明るい性格の大西は、こちらが質問する以上に多くのことを話してくれた。今回は、本誌に乗せられなかったインタビューのこぼれ話を紹介したい。大西の見た、同期のドライチ・奥川恭伸の話だ。

 少しインタビューの中でも触れるが、大西は同期入団で4歳下の奥川のことを、非常にかわいがっているそうだ。お立ち台やインタビューでは常に照れ笑いで控えめな奥川だが、その素顔は20歳の青年そのものだという。

 大西は奥川について、「やっぱりすごいと思いますよ。今(年齢的には)大学2年生ってことですよね? いや考えられないな……何がすごいんやろ? 向上心がすごいのかな?」と、とにかく「すごい」と連呼。2020年1月の新人合同自主トレで、初めて奥川とキャッチボールしたが「合同自主トレのときから違いましたからね、球が。キャッチボールしたくなかったですもん、自分の球がヘボ過ぎて」と笑っていた。そして、「天才ですよ」と、奥川の才能に一目置いている。

「あと、自分らは見て覚える時代なんですけど、奥川らは聞いて覚える時代なんですかね?」と首をかしげた。「自分たちは、こういう曲がりのボールは、こういう握りでこういう腕の振りで投げてるんやっていうのを、映像で見てから自分で試してみるっていうのが、自分の中では普通の変化球の習得方法なんですよ。でも奥川は、『スライダーどうやって投げてるんですか』『フォークどうやって投げてるんですか』っていうのをみんなに聞いて、それですぐにモノにするから、コイツは聞いただけでできるタイプなんや……って。すごいなって」。わずか4歳差ながら、ジェネレーションギャップに驚いていたが、奥川の吸収力が異常に高いだけで、大西の言う“普通の習得方法”が一般的だろう。

 そして、グラウンドでは見せない一面も明かしてくれた。「奥川は、野球以外はマイペースですね。何て言うんだろう。おっとり系? 自分の時間を大事にみたいな。現代っ子です。でも、お茶目ですよ。あと人のグラブが好き。他人のグラブが大好き。奥川は。もう普通に戸田のロッカーとかでも、ちょこちょこしてんなーと思ってたら、ほかの人のロッカー行ってグラブ握ってシャドーして、『あ、このグラブいい!』とか言って。投手のでも野手のでも、キャッチャーミットも持ってきますよ。この前なんか、キャッチャーミットをつけて『大西さん、この構え好きですか?』とか言って、構えて見せてきた(笑)」。奥川のいたずらっ子な面を大暴露した大西だが、そんな奥川をかわいがっていることは、言葉の節々から伝わってくる。そして大西だけでなく、全員がチームの“末っ子”のいたずらを、あたたかい目で見守っているからこそ、奥川も無邪気にグラブを触って回れるのだろう。「みんなの弟って感じです」。大西のこの一言に、奥川がいかにチーム内で愛されているかが集約されているように感じる。

『週刊ベースボール』本誌に掲載したインタビューでは、大西が今季急成長した秘密や、チームの雰囲気の良さの秘密、そして投手陣の防御率改善の秘密などを、選手目線で話してもらっている。興味があれば、11月29日号を、ぜひ。

取材・文=依田真衣子 写真=小山真司
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