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【ヤクルト日本一へのカギは?】キーマンは塩見泰隆。付け入るスキのある初戦初回に山本由伸を打ち崩せるか

 

 2021年シーズンの頂点を懸けた戦い、日本シリーズが始まる。今季はともに2年連続最下位からリーグ優勝を果たし、クライマックスシリーズ(CS)を勝ち抜いたヤクルトオリックスの激突。20年ぶりの日本一を目指すヤクルトが、オリックスを打ち破るポイントを探っていく。

“シリーズ男”になる可能性


ヤクルト・塩見泰隆


 ヤクルト日本一への最大の障壁は、やはり初戦に先発するオリックスの「負けないエース」山本由伸だ。7試合想定の場合、2度の先発が予想されるが、そこで2敗してしまうようだと、残り4勝1敗が必要になり苦しくなる。山本の先発試合を最低1勝1敗に持ち込むことが日本一への条件になるだろう。つけ入るチャンスがあるとすれば、やはりどんな投手にとっても難しい立ち上がり。初の日本シリーズならなおさらだろう。

 そういう意味で、ヤクルト側でカギを握るのは、リードオフマンの塩見泰隆だ。レギュラーシーズン終盤は調子を崩していたが、CSでは完全復活。巨人とのファイナルステージでは、10打数4安打4打点と勝負強さを発揮。第1戦初回には、ショート後方の内野フライでタッチアップを成功させ先制点を奪うなど、この男が躍動すると燕打線は勢いに乗る。第1打席で山本のリズムを崩すような打撃をして、シリーズの流れを引き寄せたい。好不調の波が激しいのが難点で、“シリーズ男”と“逆シリーズ男”の両方の可能性を秘めるが、いずれにせよ、日本一へのポイントとなる選手であることに違いはない。

 塩見から始まるヤクルト打線は切れ目がなく、二番の青木宣親、三番の山田哲人から四番の村上宗隆と、巧打あり長打ありの非常に厄介な打線。ただ、村上が10月中は1本塁打にとどまっているのは不安材料か。10月からはオスナも不調で、スラッガーたちが持ち味を発揮できるかもカギになる。CSファイナルステージ初戦では先制したその直後、五番のサンタナが初球を強振し2ラン。いきなり3点を奪い勢いに乗った。まさにこういう攻撃が今季のヤクルトを支えていただけに、日本シリーズでも助っ人たちがチームの雰囲気を明るくし、日本一へ導いてもらいたい。

勝利の方程式の出来


ヤクルト・清水昇


 もちろん、投手陣の奮闘も必要だ。今春キャンプ時点で高津臣吾監督は自身のチームを「10点取られたら11点取る野球」と分析。それほど攻撃力には自信がある証拠で、事実、625得点(12球団最多)の破壊力でリーグを制した。当然、攻撃力が強みとなるが、今季はそこに投手陣が整備されたことで勝ち星につながった。日本シリーズでもポイントになるのは投手陣がどこまでオリックス打線を抑えることができるか、にかかっている。特に8回を任される清水昇、クローザーのマクガフ。若い先発陣が試合を作り、破壊力抜群の攻撃陣が援護した展開を、そのまま何事もなく終わらせることができるか。早い段階でここが崩れてしまうと、すべてが水泡に帰す恐れも。第1、2戦の勝利の方程式の出来にも注目だ。

 また、ヤクルトの武器は「勢い」だ。“ファミリー球団”と称されるように、和気あいあいとした雰囲気は団結力となり、勢いを生む。CSの表彰式では奥川がMVPに選ばれ、同賞を“確信”していた塩見を中心に、村上らが「ずっこける」一幕も。高津監督が掲げてきたチーム一丸の全員野球を体現し、打線が奮起すれば、オリックスの強力投手陣も打ち崩せるはずだ。

写真=BBM
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