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外国人野手の中で孤軍奮闘 残留濃厚の巨人・ウィーラーに「第2のクロマティ」と称賛の声が

 

主力が離脱する中、孤軍奮闘


チームのムードメーカーでもあるウィーラー


 得点が入ればベンチから飛び出してガッツポーズを繰り返し、ほかの打者の本塁打を自分のことのように喜ぶ。チームを活気づけるムードメーカーとして、その貢献度は数字以上に計り知れない。来季も残留が濃厚な巨人のゼラス・ウィーラーだ。

 今季の巨人は外国人野手が大誤算だった。新外国人のエリック・テームズは来日デビュー戦となった4月27日のヤクルト戦(神宮)で外野守備の際に「右アキレスけん断裂」の重傷を負って戦線離脱。8月23日に退団が発表された。メジャー通算196本塁打の実績を引っさげて2年契約で入団したジャスティン・スモークは5月終了時点で打率.302、6本塁打、12打点と好成績をマークしていたが、前半戦終了後にコロナ禍で家族が来日できないことでストレスをため、球団と話し合いの末に自由契約に。8月上旬に途中入団したスコット・ハイネマンも10試合出場後、原因不明の体調不良を訴えて帰国。新外国人3選手全員が機能しなかったのは大きな痛手だった。

 その中で、孤軍奮闘したのがウィーラーだった。丸佳浩が打撃不振、坂本勇人が右手親指骨折、DeNAから昨オフにFA移籍した梶谷隆幸が左太もも裏の違和感、吉川尚輝が左手中指末節骨骨折及び左手中指爪根脱臼と主力が次々に戦線離脱する中、春先から殊勲打を打ち続けた。3、4月の月間成績は打率.500、2本塁打、9打点。本職は三塁だが不動の四番・岡本和真が控えるため、左翼、一塁を守る。夏場以降は調子を落としたが、121試合出場で打率.289、15本塁打、56打点。得点圏打率.346と勝負強い打撃でチームを何度も救った。

「ウィーラーが打つと巨人ベンチが一気に盛り上がるんですよね。特に得点圏の場面での集中力がすごい。追い込まれても軽打でヒットを打ったり、打撃に柔軟性がある。ウイニングショットもファウルでカットしてくるし、厄介です。日本の野球にすっかり適応した感じがしますね」(他球団のスコアラー)

 来日したのは2015年。17年に自己最多の31本塁打をマークするなど長打力が魅力だったが、ボール球になる変化球を空振りするなどもろさも同居していた。外国人枠の関係で他球団のほうが出場機会を得られるという楽天の配慮もあり、昨年の開幕直後に巨人へトレード移籍。来日7年目で自己最高の今季打率.289をマークしたように、34歳の助っ人は確実性を磨き、まだまだ成長過程だ。

クロマティとの共通点


巨人史上、最強の助っ人であるクロマティ


 ウィーラーと重なるのが、「伝説の助っ人」として知られるウォーレン・クロマティだ。89年に球団史上最高打率.378で首位打者に輝くなど、在籍7年間で通算779試合出場し、打率.321、171本塁打、558打点。広角にヒットゾーンに飛ばす卓越した打撃技術に加え、ナインを鼓舞してファンを盛り上げるムードメーカーとしても不可欠な存在だった。19年から巨人・原辰徳監督の要請で「臨時打撃コーチ」に準ずる役割で選手たちに打撃指導を行い、昨年はアドバイザ−を務めた。

「ウィーラーはクロマティに似ていると思います。2人に共通しているのは野球に対してストイックで誰よりも勝利に貪欲なところ。チームを盛り上げる『太陽』のような存在として、ウィーラーは来年も不可欠な存在になるでしょう」(スポーツ紙記者)

 大失速でリーグ3連覇を逃した今季のシーズン終盤。ウィーラーはスタメンを外れた試合でも仲間を鼓舞し、敗れると悔しそうな表情を浮かべていた。この敗戦を糧に、V奪回を狙う来季は先頭に立ってチームを引っ張る。

写真=BBM
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