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井川慶、川崎憲次郎、遠藤一彦…セ・リーグ6球団「チーム最後の沢村賞投手」は?

 

シーズンで最も優れた先発完投型の投手に贈られる「沢村賞」。戦前の大投手、故・沢村栄治(巨人)の功績を称えて創設された賞だ。1950年から88年まではセ・リーグの投手のみが対象だったが、89年以降はセパの先発投手から選ばれるように。果たして、セ・リーグ6球団で最後に沢村賞に選出された投手は誰なのか。

阪神タイガース



・井川慶(2003年)

 2001年に先発ローテーションに入り192イニングを投げ9勝13敗、防御率2.67という数字を残し、02年は開幕投手となり14勝9敗、206奪三振で最多奪三振のタイトルを獲得。そして03年も開幕投手を務め、4試合連続完投や12連勝をするなど、阪神快進撃の立役者としてチームをけん引。20勝5敗と1人で15の貯金を作る快投で、チームを18年ぶりの優勝に導いた。29試合に登板し20勝5敗、179奪三振、8完投、2完封、防御率2.80。最多勝、最優秀防御率を獲得。勝率は8割という驚異的な投球で阪神からは村山実小山正明、バッキー、江夏豊小林繁に続き6人目の沢村賞受賞となった。

読売ジャイアンツ


巨人・菅野智之


・菅野智之(2018年)

 2017年に平成生まれ初の沢村賞を受賞していた菅野智之が、18年も連続で受賞した。28試合、10完投、15勝、勝率.652、202イニング、200奪三振、防御率2.14と、7つの選考基準をすべてクリアしての受賞は、11年の田中将大(楽天)以来で、2年連続は1996年の斎藤雅樹(巨人)以来22年ぶり史上5人目の快挙だった。この年は自身2度目の最多勝利、4度目の最優秀防御率、2度目の最多奪三振と投手三冠。CSファーストステージのヤクルト戦(神宮)では、日本のポストシーズン史上初のノーヒットノーランを達成するなど、圧倒的な力を誇った。

東京ヤクルトスワローズ


ヤクルト・川崎憲次郎


・川崎憲次郎(1998年)

 高卒2年目に12勝、3年目に14勝、故障のあった4年目は一軍未登板に終わるも5年目は再び2ケタ10勝をマークした川崎憲次郎。その後、右ヒジ手術の影響もあり成績が下降したが97年、野村克也監督にシュート習得を勧められたことが転機になる。1年間をかけて完全マスターすると翌98年、リーグトップの9完投、3完封で17勝を挙げて最多勝に輝いた。パ・リーグは西口文也(西武)、武田一浩(ダイエー)、黒木知宏(ロッテ)の3人が13勝で最多勝を分け合う形で、セ・リーグでは横浜が38年ぶりの優勝を果たしたが原動力はマシンガン打線と守護神・佐々木主浩とあって突出した成績を残した先発はなし。川崎がヤクルトでは78年松岡弘以来の沢村賞に選ばれた。

中日ドラゴンズ



・大野雄大(2020年)

 中日からは記憶に新しい昨年の大野雄大だ。20試合に登板して11勝6敗、防御率1.82に148奪三振で最優秀防御率と奪三振のタイトルを獲得。それ以上に決め手となったのは6完封を含む10完投。また9月から10月にかけては6試合にまたがって45回連続無失点を記録。これはNPB歴代12位の記録だが、左腕では歴代1位の金田正一(国鉄ほか)の64回1/3に次ぐ2位の記録だ。昨年はコロナ禍の影響で開幕が6月にずれ込んでの120試合制という短いシーズン。その中で残した数字であることは付け加えておかなければならないだろう。ちなみに中日からの沢村賞は2004年の川上憲伸以来、16年ぶり9人目となった。

広島東洋カープ


広島・ジョンソン


・ジョンソン(2016年)

 広島からのもっとも最近の沢村賞投手は、チームが25年ぶりの優勝を遂げた2016年のクリス・ジョンソンだ。15年には前田健太(現ツインズ)が受賞しており、広島から2年連続の受賞となった。この年のジョンソンは、すべて先発で26試合に登板し、15勝7敗。勝率.682で、防御率2.15。投球回180回1/3で、完投は3、奪三振は141。選考基準のうち、勝利数、防御率、登板数、勝率の4項目をクリアした。ただタイトル獲得はなく、1981年の西本聖(巨人)以来のノンタイトルでの受賞だった。外国人選手としては64年のバッキー(阪神)以来、52年ぶり2人目。ジョンソンはその後、20年限りでカープを離れ、21年に引退することを表明している。

横浜DeNAベイスターズ



・遠藤一彦(1983年)

 速球とプロに入ってからマスターしたフォークを駆使して、2年目の1979年から頭角を現し、先発ローテーション入り。82年から6年連続で2ケタ勝利を挙げるなどセ・リーグを代表する右腕となった遠藤一彦。圧巻だったのが83年だ。4月にケガをして回復まで1カ月を要したものの、5月に復帰してからは大洋の絶対的エースとして頼もしい存在に。「あのときは打たれる気がしなくて、1点取ってもらえれば勝てる、くらいの気持ちだった」。8月14日から閉幕まで怒とうの12連勝。シーズン18勝9敗3S、防御率2.87で沢村賞、ベストナイン、最多勝に輝いた。

写真=BBM
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