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2年後のドラフトを目指す中央学院大・古田島成龍、山崎凪。集大成の秋で日本一へ

 

ドラフト指名漏れの無念


中央学院大は国学院大との準決勝[11月24日]を制し[6対2]、初の決勝進出。4点リードの最終回はエース・古田島が3連続四球でピンチを広げ降板し、山崎が後続3人を抑える好救援。試合後、古田島[右]は山崎[左]に深々と頭を下げている


 中央学院大の151キロ右腕・古田島成龍(4年・取手松陽高)と149キロ右腕・山崎凪(4年・千葉英和高)はプロ志望届を提出したものの、無念の指名漏れ。10月11日のドラフト会議で、名前が呼ばれることはなかった。

「悔しかったことは間違いない。2人とも言葉にはしないですが、思うところはあったはずです」(中央学院大・菅原悦郎監督)

 古田島と山崎はともに、大学日本代表候補に入ったこともある実力者。下級生時代から中央学院大の投手陣を支えてきた。古田島は山崎を「いつも冷静で、落ち着いている」と信頼すれば、山崎は古田島を「ウチの大エースです」と認め合う仲である。集大成の今秋は「日本一」と誓い合い、切磋琢磨してきた。

 2人とも大学卒業後は社会人球界へと進み、2年後のドラフトを目指すという。「運命の日」はシーズン途中だったが、立ち止まっている時間はない。千葉県大学リーグを制すと、明治神宮大会出場をかけた関東選手権で初優勝。

 19年ぶりに出場した明治神宮大会初戦(2回戦、対佛教大)では古田島が7回1失点で、7回コールド勝利に貢献。国学院大との準決勝は序盤2イニングで6得点と主導権を握った。先発の1年生・清水一眞(共栄学園高)が2失点した4回途中、古田島がリリーフ。8回まで無安打と好救援を見せ、中央学院大が6対2のまま逃げ切るかと思われた。

 しかし、9回表、古田島は3連続四球を与える。ここで菅原監督はベンチを動き、守護神・山崎にスイッチ。ある意味、緊急登板となったわけだが、強心臓の持ち主である山崎にとっては、プレッシャーとは無縁だった。局面が重いほど、意気に感じるタイプである。

「ピンチなんですけど、今までもそういう場面で起用していただいて、ベンチの皆も期待してくれて『いける!』と後押ししてくれたので、いつもどおり、投げられたと思います」

 後続3人を右飛、見逃し三振、空振り三振に抑えた。最後は最も得意とするフォークで締め、初の決勝進出へと導いている。山崎は試合後のオンライン会見で「しっかり腕が振れたこと、物怖じしないで投げられた。割り切って投げられたと思います」と胸を張った。

王者・慶大との頂上決戦


 試合直後、仲睦まじい光景が見られた。整列時、山崎にチームメートが次々とハイタッチする中、古田島からの祝福を「拒否」したのである。もちろん、これはジョークであり、ユニークな山崎らしい歓喜の表現方法だった。スタンドへの挨拶を終えると、今度は古田島が山崎へ深々と最敬礼。チームを背負ってきた2人の絆を感じるシーンだった。

 今秋、中央学院大は苦しんだ。リーグ戦で開幕2カードを終え1勝3敗。後がなくなって以降、3カードを6連勝で逆転優勝を飾った。関東選手権で3勝、そして今大会で2勝と、11連勝。決勝は今年6月の全日本大学選手権を制した王者・慶大との頂上決戦である。

 中央学院大は16年の大学選手権で準優勝。5年ぶりの決勝を前に、菅原監督は言う。

「当時の雰囲気とまったく同じだと思います。常に挑戦者、と言い続けてきました。並外れた能力の選手はいません。一つひとつ束になって、チーム力ということでやっています」

 失うものはない。古田島、山崎の両輪のほか、野手も4年生が中心で、チームワークはどこにも負けない。2021年の学生野球ラストゲーム。コロナ禍における昨年の中止を経て、2年ぶりの大会開催となった明神宮大会決勝は「感謝」を胸に、完全燃焼する。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明

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