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太陽がまぶしいとき、どう守る?「軌道を予測することで、見失っても捕球は可能」/元西武・平野謙に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は外野守備編。回答者はゴールデン・グラブ賞に9度輝いた名手、元西武ほかの平野謙氏だ。

Q.太陽がまぶしくボールが見づらいときは、どのように守ればいいですか。(沖縄県・16歳)


西武時代の平野謙氏


A.ボールは太陽に重なってもしばらくすれば必ず出てきます

 近年はデーゲームが増えてきたので、プロの外野手も太陽対策は苦労しているようです。今は高性能のサングラスがありますが、太陽光線を完全に防げるわけではありません。まともに見てしまうと、しばらく目がチカチカしてしまいます。太陽の差し込む方向などは球場によっても違います。私が経験した各球団の本拠地球場で言えば、神宮が結構、目に入りました。あとは外野手としてではありませんが、昔の広島市民球場ですね。夕方になると西日がレフト方向から入ってきて、日よけを設置する前はファーストがすごくボールを捕りづらかったようです。屋根がなかった時代の西武球場も同じような方向から入ってきて、左打席に入ったとき右投手の大きなタテのカーブが来ると、見づらかった記憶があります。

 太陽は季節によって位置が変わりますし、1日のうちでも時間を追って動き、夕方、球場の建物などで隠れる直前に一番角度がつきます。日ごろから練習できる球場なら、いろいろな時間帯で、そうでないなら試合前のノックや打撃練習のときに、ボールが見えづらい角度や場所を探し、太陽が動いた場合も予測しながら、フライと太陽が重ならないように見るにはどうしたらいいかを試してみてください。要はボールと太陽が1つになるから見えないわけですから、2つに見える場所を探すわけです。

 どうやっても重なる場所もありますが、ボールは止まっているわけではありません。重なってもしばらくすれば必ず出てきます。ボールの軌道を予測することで、一度、見失っても捕球は可能です。その際、ボールの癖も考えてください。ライトならライン際の打球はファウルゾーン方向に切れていくはずです。本来は、その切れを予想してライン側から捕球に向かいたいところですけど、そうやって攻めると太陽に向かっていかざる得ない場合もあります。その場合は、右中間側から追いかけていく。準備さえしていれば対応はできます。あわてず、あせらず捕球するようにしてください。

 いずれにしても、完全な再現は無理だとしても、いきなり本番ではなく、練習で、いろいろな状況を試すことが重要です。逆にそういう状況を楽しみ、どうやって捕ろうかと考えることで必ずうまくなっていきます。ちなみに最後に自慢話ですが、僕はまぶしくて落としたことは一度もありません(笑)。

●平野謙(ひらの・けん)
1955年6月20日生まれ。愛知県出身。犬山高から名商大を経て78年ドラフト外で中日入団。88年に西武、94年にロッテに移籍し、96年現役引退。現役生活19年の通算成績は1683試合出場、打率.273、53本塁打、479打点、230盗塁。

『週刊ベースボール』2021年10月18日号(10月6日発売)より

写真=BBM
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