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プロ野球はみだし録

究極のファッション? 3種類のカツラを使い分けていた西武の助っ人スティーブ【プロ野球はみだし録】

 

パンチパーマの全盛期に


西武・スティーブ


 忘れたころに話題となるのがプロ野球選手の服装、そして髪型。グラウンドで結果を残していればいいというだけではないのがプロ野球選手のつらいところかもしれないが、ファッションというか身だしなみというか、こうしたものが成績にも影響するという考え方もあるらしい。ただ、筆者も戦々恐々としているところながら、世の中年男性……という表現もしづらい昨今だが、男性ホルモンが毛根という毛根を蹂躙、駆逐するときが遅かれ早かれ訪れる。そうなるとオシャレなカラーリングどころか白髪染めすら歯が立たない。だからといって、必ずしもネガティブに捉えなくてもいいようだ。

 1980年。パ・リーグが前後期制だったシーズンだ。プロ野球ではパンチパーマが全盛期を迎えていた(?)時代でもある。その80年の後期から3年半の契約で西武に加入したスティーブ・オンティべロス、29歳。前述の状況に至るのには若すぎるのかもしれないが、すでにカツラを愛用していた。それもメジャー時代からで、母国ではカツラのCMにも出演、スライディングの際にカツラが吹っ飛んで爆笑を呼んでしまったこともあるという。ただ、日本ではプレー中には装着せず、周囲の目に留まるのは移動中などのグラウンド外。スティーブの髪型は、しばしば激変した。

 もちろん、毎日のように散髪していたわけではない。時と場合によって複数、一説によると3種類のカツラを使い分けていたのだという。不振に陥れば髪型でも変えてみたくなるのが人情というもの。これがエスカレートしてスキンヘッドになってしまい、それでも調子が上がらなければ、もうどうすることもできなくなる。どういう基準でスティーブがカツラを使い分けていたかは定かではないが、気分転換には便利なように思える。近年はカツラも進化して、なかなか外れないだけでなく脱着も便利になったと聞く。一定を超える収入は必要らしいが……。

 どうあれ、スティーブは左右の両打席からシュアな打撃と勝負強さを発揮。高い出塁率を誇り、契約も延長されて85年までプレーしている。黄金時代の使者といえる助っ人の1人だった。

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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