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FA移籍も故障に泣かされた巨人・梶谷隆幸 「レギュラー白紙」から復活できるか

 

たび重なる故障に泣かされて



 リーグ3連覇を逃した巨人。「この男がいれば……」と思ったファンは多いだろう。昨オフにDeNAからFA移籍し、リードオフマンとして期待された梶谷隆幸だ。

 たび重なる故障に泣かされた。開幕してから4月中旬まで打率1割台と調子が上がらなかったが、その後は広角に鋭い打球を飛ばす本来の打撃を取り戻す。打率3割を超えたが、5月23日の中日戦(バンテリン)の3回に右翼の守備で中日・ビシエドの飛球を追いかけた際、二塁手の吉川尚輝と交錯。ライン際でスライディングキャッチしたが左太もも裏の違和感で戦線離脱した。6月2日のDeNA戦(金沢)から一軍復帰も、7月10日の阪神戦(甲子園)で右手甲に死球を受けて骨折した。さらに、二軍戦で実戦復帰を果たそうとした9月7日に腰痛を発症。10月下旬に腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けた。

 移籍1年目は61試合出場で打率.282、4本塁打、23打点、11盗塁。体調が万全なら結果は間違いなく出す。最も歯がゆい思いをしているのは本人だろう。梶谷は今年2月に週刊ベースボールのインタビューで、FA移籍を決断した際の胸中をこう振り返っている。

「もちろん、野球人生の中で一番悩みました。ベイスターズは大好きなチームですし、ここまで成長できたのもベイスターズのおかげ。感謝しかありません。ただ、いろいろと考える時間をもらって、残留したとしても、移籍したとしても、結局、やるのは野球で、その環境の中で自分が結果を残すしかない、と。これがまずベースの考えとしてあって、チームが変わる、環境が変わるということは、イコール『成長できるチャンスだ』と思うようになりました」

「長く在籍しましたから、やはり、DeNAは居心地がとてもいいんです。でも、居心地がいいまま終わっていいのか。環境を変えることで、しびれるような刺激を受けて、自分はもっとうまくなれるんじゃないか、と。移籍は不安も伴うし、当然、期待される分、結果も求められます。自分も人間なので考えれば考えるほど、マイナス要素が出てくるんですが、『それも楽しいのかな』と思って、最終的にジャイアンツへの移籍を決めました」

レギュラーは保証されていない


 巨人OBのデーブ大久保は本誌のコラムで、梶谷に対する期待をこう語っていた。

「以前、高木豊さんと彼がご飯を食べているところに居合わせたことがありますが、2人とも雰囲気が似ているんですよね。どこかわが道をいくタイプ。そういう選手って巨人にはなかなかいないんです。実は、カンフル剤としてチームにとって必要な選手なのかな、と思います。もちろん、実力は皆さん知ってのとおりです。昨季は打率.323ですか。現場にいると、経験上3割打者は毎回、塁に出ている感覚なんです」

「それに得点がリーグトップの88ですから、塁に出たらホームに必ずかえってくるイメージが相手チームにあると思いますよ。しかも本塁打が19本ですよね。こんな打者が『一番』に入ったら相手チームは本当に嫌ですよね。巨人打線では、梶谷が一番に入ることで、勇人(坂本勇人)が一番を打つ可能性は低くなります。勇人自身も打席に集中できるようになりますし、一番から四番までかなりの重量打線になります。この打線に、菅野(菅野智之)が残った投手陣も含めて、やはり巨人は優勝候補です。それ以上にパ・リーグを倒し日本一になるためには梶谷は必要な存在です」

 故障は全力プレーの代償であり、不可抗力の部分もある。だが、試合に出続けることが一流選手の証と言える。

「外野陣は成長株の松原聖弥丸佳浩ウィーラーがチームの核となり、梶谷はレギュラーが保証されている立場ではない。ただ、攻守で躍動感あふれるプレーはチームを勢いに乗せる力がある。来季は梶谷の活躍がチームの命運を握ると思います」(スポーツ紙デスク)

 悔しさをバネに、コンディションを万全にして来季に臨む。

写真=BBM
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