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【捕手採点】オリックス90点、ロッテ70点、楽天60点…パ・リーグ6球団「扇の要」の評価は?

 

「優勝チームに名捕手あり」――。南海、ヤクルト阪神楽天で監督を務め、自らも現役時代は捕手だった名将・野村克也氏はそう野球の本質を突いた。“扇の要”とも表現され重要な役割を担う捕手。果たして、今季のパ・リーグ6球団の「捕手陣」の評価は? 100点満点で採点した。

オリックス・バファローズ



オリックス 90点

“正捕手”不在は決して悪いことではない。開幕スタメンは頓宮裕真が勝ち取るも、先発マスクは伏見寅威=74、若月健矢=43、頓宮=26と主に『伏見・若月』を併用。宮城大弥山崎福也とカーブなど緩急を巧みに操る投手を伏見がリードし、山本由伸山崎颯一郎田嶋大樹ら直球が武器の投手を若月がリードした。互いに得意なリードで投手の良さを引き出して共存共栄。休養が設けられるメリットに、ベンチから試合を見て、観察眼を養うこともできたはずだ。捕手出身で、自身も日本ハム時代に9回のみマスクをかぶる“抑え捕手”として出場していた中嶋聡監督ならではの選手起用は、投手陣との相乗効果をもたらした。

千葉ロッテマリーンズ



ロッテ 70点

 正捕手・田村龍弘は健在も、4月末に左太腿裏肉離れ。開幕5連敗スタートながら貯金生活に転じていたチームは正捕手を欠くと停滞し、その間は佐藤都志也柿沼友哉江村直也らを併用も投手陣を含めたディフェンス面が不安定に。すると、“強化”へ6月に中日から加藤匠馬をトレードで獲得。後半戦は加藤の先発マスクも増え「加藤バズーカ」とも呼ばれる自慢の強肩も披露した。田村が6月末に復帰以降は『打撃の田村』に『守備力の加藤』の形で捕手2人体制となるも、優勝争いを展開したシーズン終盤は打線が湿り、攻撃面での充実も図りたかったが、田村が残り3試合でまたも離脱。ドラフトでは「一番の補強ポイント」と高校捕手の松川虎生(市和歌山高)を1位で指名と、強打が武器の佐藤都志也を含めて捕手戦力の底上げを図っていく。

東北楽天ゴールデンイーグルス


楽天・太田光


楽天 60点

 今季、もっとも多くスタメンマスクをかぶったのが太田光で84試合、7月に巨人から移籍してきた炭谷銀仁朗が38試合で続く。大卒3年目の太田は田中将大岸孝之涌井秀章といったキャリア豊富な投手と組み、実戦の中で成長を目指しているのが現状。炭谷の加入で出場機会減を強いられたことから、独り立ちするにはまだ時間が必要か。11試合の下妻貴寛、8試合の足立祐一が今季限りで現役を引退したことから、来季の捕手陣の勢力図は大きく変わりそうだ。ほかには打撃のいい田中貴也、ファームにも堀内謙伍、若手の石原彪水上桂がおり、正捕手争い参戦には強烈なアピールが必要だろう。

福岡ソフトバンクホークス



ソフトバンク 75点

 一軍の戦力としてマスクをかぶり始めて5年目。正捕手として今季、甲斐拓也は全143出場を成し遂げた。球団では野村克也、城島健司以来となる偉業。分業制をとるチームも多くなる中で、1人で守り続けたことの意味は大きい。打撃面の不調でシーズン終盤こそ高谷裕亮にスタメンマスクを譲ることもあったが、大事な場面では甲斐の“技”が光った。打撃面もリーグワースト142三振が目を引くものの、3年連続2ケタ本塁打をマーク。また、東京五輪でも正捕手として全試合でマスクをかぶり、ここでは打撃面でも金メダルに大きく貢献。5年連続5度目のゴールデン・グラブ賞は、両リーグ最多の254票を集めた。来季は打撃面での確実性をアップさせ、さらなる進化を見せる。

北海道日本ハムファイターズ


日本ハム・清水優心


日本ハム 40点

 今季は4人の捕手がスタメンマスクをかぶった。最多スタメンは81試合の清水優心で、次いで40試合の石川亮、18試合の宇佐見真吾、4試合の鶴岡慎也。チーム防御率3.32(リーグ3位)をマークした投手陣の好成績は、捕手陣のリード面によるところが大きい。試合後、投手が捕手のリードへの感謝を口にするコメントも多く見られ、タイプの異なる投手陣の持ち味を個々の捕手が生かしていった。一方で、昨年の課題でもあった盗塁阻止率と捕逸の数字は改善されなかった。盗塁阻止率.217はリーグワースト、捕逸10も昨年に続きリーグ最多だ。特に二盗に関しては阻止率1位のソフトバンクの2.6倍にあたる120盗塁を許しており、来季への大きな課題といえる。

埼玉西武ライオンズ



西武 70点

 今季も118試合でスタメンマスクと、正捕手としてチームをけん引したのは森友哉だ。2019年に捕手としては史上4人目の首位打者に輝きチームの連覇に貢献したが昨季は一転、打撃不振にあえぎ、打率.251に終わっていた。捲土重来を期した今季、交流戦前までは波に乗ることができなかったが、その後は状態が急上昇。リーグ2位の打率.309をマークし、主に三番として打線を牽引した。しかし、森の責任だけではないが4年連続リーグ最下位となるチーム防御率3.94。そこはマイナス点だが、「守りでも評価してほしい」と来季はゴールデン・グラブを狙う意気込みだ。そのほかには岡田雅利柘植世那とレベルの高い捕手がそろう。さらに今秋のドラフト3位で大学No.1捕手の古賀悠斗(中大)を獲得。捕手陣の厚みを増した。

写真=BBM
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