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背番号物語

【背番号物語】谷繁元信「#8&#27」落合監督に「イメージに合わない」と言われ…捕手ナンバーでフィナーレ

 

大洋の「1」、横浜の「8」


大洋で1年目から「1」を与えられた谷繁


 大洋(現在のDeNA)で通算201勝を残した平松政次については紹介したばかりだが、ついに優勝の美酒を味わうことなく引退した平松の「27」を捕手ナンバーとして谷繁元信が継承、横浜の司令塔として1998年に38年ぶりリーグ優勝、日本一へとチームを導いた……となれば、背番号の物語としては上出来だろう。平松の「27」は捕手ナンバーの筆頭格でもあり、谷繁もFAで移籍した中日で「27」を背負い、兼任監督も務め、現役を引退してからも監督として「27」のまま指揮を執っているから、谷繁にも「27」の印象が強い。

 長いDeNAの歴史からドリームチームを編成したとき、ほぼ間違いなく先発バッテリーを組みそうな両雄ではあるが、谷繁が大洋、そして横浜で「27」を背負ったことはない。ドラフト1位で89年に大洋へ入団した谷繁は、1年目から1ケタの背番号でプレー。中日でも当初は1ケタの背番号で、最後に捕手ナンバーへとたどり着いた形だ。

【谷繁元信】背番号の変遷
#1(大洋1989〜92)
#8(横浜1993〜2001)
#7(中日2002〜03)
#27(中日2004〜16)

 通算3021試合出場でプロ野球の頂点に立つ谷繁。そこそこ早い段階からレギュラーに定着しており、ある背番号を自身の象徴としてこだわってもおかしくない存在ながら、これほどまでに背番号の変更を“余儀なくされた”のも珍しい。

 高卒ルーキーながら「1」を背負った谷繁。捕手としては珍しいケースだが、これは期待の表れでもあっただろう。谷繁は1年目から80試合に出場。ただ、不動の司令塔というわけではなかった。転機は93年。大洋がチーム名を横浜へ、愛称をホエールズからベイスターズへと変更して心機一転を図ったシーズンだ。

横浜となった93年からは「8」に


 現役時代は大洋の「1」でプレーしていた近藤昭仁監督が就任すると、「『1』は内野手の背番号。プロテクターをすると見えなくなるので、やめたほうがいい」と言われて、背番号を変更することとなる。新たに背負ったのは「8」だった。ほぼ完全にプロテクターで見えなくなるわけではないとはいえ、「8」も見えづらい数字のような気がするが、この変更は谷繁にとっては吉と出た。「8」1年目に初めて出場100試合を突破。6年目の98年が日本一イヤーだ。谷繁は2001年オフにFAで中日へ移籍するまで「8」のままプレーを続けている。

短かった「7」から集大成へ


中日移籍1、2年目は「7」だった


 02年、新天地の中日で最初に背負ったのは「7」。これも大洋で最初に着けた「1」と同様、捕手としては珍しいケースだ。ちなみに、このとき中日では、ともに横浜の日本一に貢献した波留敏夫が「8」を着けていた。「7」1年目に初めてノーヒットノーランをリードした谷繁だったが、わずか2年で、この「7」とは別れを告げることとなる。

04年から「27」に。引退して監督専任となっても同背番号だった


 04年に就任したのが落合博満監督。やはり「『7』は捕手のイメージに合わない。プロテクターにも隠れる。もっと捕手らしい背番号を」と言われた谷繁は、もっとも捕手らしい「27」を背負うこととなった。見方を変えれば、歴戦の谷繁はプロ15年目にして初めて捕手らしい背番号を着けたことになる。この「27」は戦前からの捕手ナンバーといえる存在。1リーグ時代の巨人吉原正喜が着け、戦後のV9時代に森昌彦が捕手のイメージを強固にした。その後も、西武伊東勤ヤクルトでは古田敦也が着けたが、ともに黄金時代の司令塔だ。「8」が谷繁にとって吉なら、「27」への変更は大吉。同時に、谷繁によって「27」は捕手の印象を不動のものにしたといえる。

 落合監督1年目、谷繁の「27」1年目となる04年に中日はリーグ優勝。球界再編の荒波もあり、プロ野球は過渡期を迎えるが、中日は黄金時代へ突入していった。谷繁は司令塔として4度のリーグ優勝に貢献。07年はペナントレースこそ2位で終えたものの、このシーズンから導入されたクライマックスシリーズで巨人を破って日本シリーズに進出、日本ハムと激突する。第5戦(ナゴヤドーム)では山井大介岩瀬仁紀の継投“完全試合”をリードした。14年からは兼任監督に。同じく捕手で、3チームでプレーした野村克也を通算試合出場で超えて頂点に立ったのは現役ラストイヤーの15年。最後の背番号と同じ27年の現役生活だった。

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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