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プロ野球はみだし録

「としお」だけで3パターン…。所属チームよりも登録名のバリエーションが多かった田野倉【プロ野球はみだし録】

 

記録保持者は“ゴメス”後藤武敏?


中日・田野倉


 この仕事をしていて、ちょっとした強敵といえるのがプロ野球選手の登録名。具体的にいうと、例えばドラフトの話をするときは、1991年のドラフト4位でオリックスに指名された鈴木一朗、となる。「鈴木一朗」とは、日米で通算4367安打を残したイチローの本名であり、プロ入りから93年までの登録名。94年に登録名を「イチロー」へと変更、いきなりプロ野球で初めてシーズン200安打を突破して大ブレークを果たした。正確を期すと、分かりづらくなって恐縮だが、ドラフトで指名されたのはイチローであって「イチロー」ではなく、シーズン200安打の第1号となったのは鈴木一朗であって「鈴木一朗」ではない、ということだ。

 登録名の変更は古くから散見されてきたことだが、イチローの登場から、登録名の“自由化”が加速したのは確かだ。詳しく調べたわけではないが、ほぼ間違いなく、長いプロ野球の歴史で登録名の“最多記録”は西武DeNAの2チームで16年間プレーした後藤武敏になるだろう。特にDeNAへ移籍してから、キャリア最後の4年間は1年ごとに登録名を変更。こちらも意地で(?)書いてみると、2003年から14年が「後藤武敏」、15年は「後藤武敏G.」、16年が「後藤G武敏」、17年は「G.後藤武敏」、ラストイヤーの18年が「G後藤武敏」となる。この「G」は後藤のニックネーム”ゴメス”が由来だが、これがアナログの書籍になると、「G」を全角にするか半角にするか、「.」があるから半角のほうがいいのではないか……などを編集部で共有し、ひとたびミスがあれば印刷所とのやり取りで修正する必要がある。G、恐るべし……である。

 移籍などで所属したチームよりも登録名が多かった選手では、中日とロッテで同じく16年間プレーした……1973年から78年は「田野倉利男」、79年から83年が「田野倉正樹」、84年から86年が「田野倉利長」、最後の87年から88年が「田野倉利行」がいる。読みは「正樹」のみが「まさき」で、ほかは「としお」。最後の2パターンは、なかなかの難読名だ。

 3人を紹介しただけで紙幅が尽きた。手抜きに思われそうなのが悔しい。

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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