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あの選手は動くか、動かざるか──12球団FA戦線最前線

 

11月14日、フリーエージェント資格者97人の名簿がNPBから発表された。うち今季の取得者は国内が23人、海外が11人。ただ、現状では権利を行使する選手は少数にとどまる可能性が高い。ここでは12球団それぞれの最新事情を整理する。
※情報は12月6日13時時点

FA宣言した選手は少数


中日の又吉はFA権を行使した


 ヤクルトでFA権利行使の可能性があったのは、今季で複数年契約が切れる中村悠平のみだったが、12月4日のファン感で「来年もヤクルトでお世話になります」とファンの前で残留宣言。阪神でも正捕手・梅野隆太郎の動向が注目されたが、12月3日、FAを行使せず残留を表明。「今年あと少しのところで優勝を逃して本当に悔しい思いをして、やっぱりこのチームで優勝したい。その思いが一番でした」とコメントした。

 巨人最大の注目ポイントは、昨オフにポスティングでメジャー移籍を目指しながらも条件などが折り合わずに断念した、菅野智之の去就だった。今季は10月に海外FA権を取得も行使せず残留が決まった。そのほかFAとは異なるが、5年契約を終えて残留が濃厚だった陽岱鋼は「新しいステージでチャレンジしたい」と申し出て、球団サイドが自由契約とすることを了承した。

 広島で、今季新たに国内FA権を獲得したのは、大瀬良大地九里亜蓮の両投手と、内野手の堂林翔太。堂林は11月5日に早々に残留を表明。残る2人は先発3本柱のうちの2本で、もし宣言すれば争奪戦は必至だけに注目されたが、まず大瀬良が11月18日、続いて22日には九里も残留を表明した。焦点はFAではないが、ポスティングシステムでのメジャー挑戦となった鈴木誠也が、メジャーの労使交渉の行方も絡みどうなるか、というところだけとなった。

 中日ではチームを支えてきた中継ぎの3人がFA権を取得。その動向が注目されたが、田島慎二祖父江大輔は残留。又吉克樹は権利行使を決断した。又吉は独立リーグ(四国IL/香川)からのプロ入り。中日に入団する際、当時、香川オリーブガイナーズのGMから言われた言葉が心に残っている。「独立リーグからFA宣言する選手を出すのが夢」。その夢を叶えるため、そして独立リーグに光を当てるためのFA宣言となった。すでに球団、また立浪和義監督とは話し合いを終え、宣言残留も認められている。あとは他球団の評価だ。代理人は付けず、交渉は自分一人で臨む覚悟だ。

 DeNAでは宣言をすれば今オフのFA市場の目玉となったであろう宮崎敏郎が、国内FA権を行使せず6年総額12億円+出来高という大型契約を結んだ。海外FA権を習得した大和も権利を行使した上で残留することを表明している。動向がはっきりしないのが山崎康晃。かねてよりメジャー移籍を希望してきたが、今季は二軍降格の屈辱を味わうなど万全のコンディションではない。来季は国内で結果を残すことを最優先させ、その上で海外FA権取得を目指すのが現実的か。

日本ハムのノンテンダーFA


日本ハムの西川[写真]、大田、秋吉はノンテンダーFAに


 パの王者・オリックスで今季、新たに国内FA権を取得したのは28歳の後藤駿太。レギュラー定着には至っていないが、俊足好守を武器に代走、守備固めとしては大きな戦力なのは確か。9月に権利を取得した際は、チームが優勝争いの真っただ中とあって「優勝に貢献できればいいかなとは思うんですけど、本当にやっと取れた権利なので、しっかり考えたい」と話していた。

 ロッテは海外FA権を保有している4人のうち3人が複数年契約を結んでいる。益田直也が3年、荻野貴司唐川侑己が2年契約でいずれも来季が最終年。3人ともFA権を取得した際に残留を決めて複数年契約を結んでいるが、保有したまま単年契約を続けてきたのが角中勝也だ。18年に国内FA、19年に海外FA権を取得するも行使せず。複数年契約を提示されるも「1年1年やるだけ」と単年契約を選んできた。今季、国内FA権を取得した石川歩は19年オフにはポスティングシステムを利用してのメジャー移籍の夢を球団に伝えていたが、昨オフは断念。今季も残留を表明した。楽天では田中将大のMLB復帰があるかに注目が集まったが、チームの3位、自身の4勝9敗の成績もあって12月3日に残留を発表した。

 ソフトバンクは主力選手に関しては、権利を取得する前に複数年契約を結ぶケースが多く見られる。しかし昨オフ、嘉弥真新也は単年契約。ワンポイントリリーバーとして17年から連続して50試合以上に登板する左腕だけに、今季4月の権利取得の際にはオフの動向が注目されたが、12月3日に残留することが明らかに。2年契約で大筋合意した模様だ。同じく今季10月に権利を取得した千賀滉大も12月5日に、契約破棄可能なオプトアウト付きの5年契約を締結した。

 日本ハムではシーズン途中に西武からトレード移籍した木村文紀は、国内FA権を行使せずに残留。注目はノンテンダーFAとなった3人だ。海外FA権を取得している西川遥輝、国内FA権を取得している秋吉亮大田泰示に対して球団は来年の契約を提示せず、保留手続きを行わないことを発表。3人は契約保留選手名簿から外れ自由契約となり、日本ハムを含めた国内・海外の他球団と交渉が可能となった。球団としては新体制となる来季に向けて、高額年俸選手のコストを抑え、若手選手を中心にチームの活性化を図る狙いがあるのは明らか。3人の具体的な移籍先はまだ聞こえてこないが、仮に残留となった場合でも年俸の大幅ダウンは避けられないだろう。

 西武では今季、国内FA権を獲得した岡田雅利が権利を行使した上で残留することを11月30日、明らかにしている。

写真=BBM
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