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今季引退の亀井善行は松井秀喜や高橋由伸を超えている? 巨人のサヨナラ弾ランキング

 

 巨人一筋17年、長きにわたりチームを支えてきた亀井善行が今季限りで引退した。亀井といえば勝負強いバッティングが特徴だ。例えば2017年6月18日のロッテ戦。ケーシー・マギーが敬遠されたあとの一撃は、巨人ファンの脳裏に刻まれているのではないだろうか。亀井はサヨナラ本塁打で試合を決める場面が多かったが、通算何度のサヨナラ弾を記録し、巨人史上では何番目に多いのだろうか? サヨナラ弾が多い歴代巨人選手を調べてみた。

通算本塁打に占めるサヨナラ弾の割合は亀井がトップ


今季の開幕戦で劇的な代打サヨナラ弾を放った亀井


 巨人の歴代所属選手の「サヨナラ本塁打」の数を調べた結果、Top10のランキングは以下のようになった。

●歴代巨人所属選手の「サヨナラ本塁打」Top10

第1位 王貞治…通算8本(868本中8本)
第2位 長嶋茂雄…通算7本(444本中7本)
同2位 阿部慎之助…通算7本(406本中7本)
同2位 亀井善行…通算7本(101本中7本)
第5位 二岡智宏…通算6本(157本中6本)
第6位 原辰徳…通算5本(382本中5本)
同6位 松井秀喜…通算5本(332本中5本)
同6位 坂本勇人…通算5本(261本中5本)
同6位 高橋由伸…通算5本(321本中5本)
第10位 清原和博…通算4本(185本中4本)

 上位Top10はこのようになった。歴代最多は王貞治の8本。その次に多いのが7本の長嶋茂雄、阿部慎之助で、今季引退の亀井も同じく通算7本で歴代2位にランクインしている。現監督の原辰徳や松井秀喜、高橋由伸よりも上なのだ。

 さらに特筆すべきは通算本塁打数とサヨナラ本塁打数の比率だ。王は868本中8本で、通算本塁打に占めるサヨナラ弾の割合は約0.9パーセント。一方の亀井は通算本塁打101本で7本なので、サヨナラ弾の割合は約6.9パーセントにも上る。サヨナラ弾の割合はランキングに入っているすべての選手で最も高い。それだけ亀井は「ここぞ」という場面に強かったのだ。

亀井のサヨナラ弾は東京ドームが最多


 次に、亀井が放った7度のサヨナラ本塁打を以下にまとめてみた。

●第1号 2009年4月25日 対中日(東京ドーム)相手投手:岩瀬仁紀
9回に代打逆転サヨナラ3ラン

●第2号 2009年8月4日 対広島(旭川スタルヒン)相手投手:横山竜士
延長11回にサヨナラ2ラン

●第3号 2009年8月8日 対ヤクルト(東京ドーム)相手投手:押本健彦
延長10回にサヨナラソロ

●第4号 2014年7月30日 対DeNA(京セラドーム)相手投手:萬谷康平
延長11回にサヨナラソロホームラン

●第5号 2015年7月29日 対DeNA(京セラドーム)相手投手:ヨスラン・エレラ
延長10回にサヨナラ2ラン

●第6号 2017年6月18日 対ロッテ(東京ドーム)相手投手:大嶺祐太
延長12回に逆転サヨナラ3ラン

●第7号 2021年3月26日 対DeNA(東京ドーム)相手投手:三嶋一輝
9回に代打サヨナラソロホームラン

 亀井のサヨナラ第1号は2009年4月25日の中日戦。守護神・岩瀬の初球をスタンドに叩き込んだ。このときは同僚の松本哲也のバットを借りて打席に立っていた。2009年は8月にも2本のサヨナラ弾を記録。1シーズンにサヨナラ弾3本は王に並ぶチーム記録で、現在までに王と亀井、坂本の3人が同数で並んでいる。

 その後は2014年、2015年と2年連続でDeNA相手にサヨナラ弾を記録。どちらも京セラドームで開催された試合で、亀井本人もヒーローインタビューで「(京セラドームは)本当に相性がいい、やりやすい」と語っていた。特に2015年の一打は、第84代の四番打者になってから初の本塁打だけに喜びも大きかっただろう。

17年6月18日のロッテ戦でサヨナラアーチを放ち、高橋監督と抱き合う亀井


 2017年6月18日に行われたロッテ戦では、屈辱を跳ね返す一打が飛び出した。この日は四番にマギー、五番に亀井という打順だったが、ロッテバッテリーは8回、延長10回とチャンスの場面でマギーを敬遠。打者にとっては屈辱としか言いようがない場面だったが、亀井はどちらも凡退に終わっていた。

 迎えた11回裏、再び巨人にチャンスが訪れる。ロッテは再びマギーを敬遠して亀井を打ち取ろうとするが、屈辱に燃える亀井を抑えることはできなかった。大嶺が投じたフォークをすくい上げるように打ち返すと、ボールはそのままライトスタンドに到達。劇的なスリーランで試合を決めた。涙を流しながらダイヤモンドを一周し、高橋由伸監督と抱き合う亀井の姿は、平成巨人史の中でもトップレベルの名場面だろう。

 現役最後の年となった今季は、開幕戦で劇的な代打サヨナラ弾を放っている。実は開幕戦でのサヨナラ本塁打は巨人史上初。さらに「代打」ということでは、プロ野球初の快挙だった。

 巨人歴代選手のサヨナラ弾ランキングを調べたところ、今季引退の亀井は歴代2位に食い込む偉大な記録を残していたことが分かった。しかも通算本塁打101本でサヨナラ弾7本と、サヨナラ本塁打の割合は王や長嶋、松井をも超えるすさまじい記録だ。亀井は打撃タイトルを獲得することはなかったが、勝負強さを示す「サヨナラ弾の記録」は今後も語り継がれていくだろう。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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