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伊藤智仁、長嶋茂雄、田淵幸一…セ・リーグ6球団「衝撃の新人王」は?

 

明日、12月15日に開催される「NPB AWARDS 2021」で今季の新人王が発表される。どの選手が選ばれるか注目されるが、果たしてこれまで新人王を獲得した選手の中で最も驚くべき結果を残したのは誰だったのか。セ・リーグ6球団の「衝撃の新人王」は?

東京ヤクルトスワローズ



 最も衝撃的な成績を残したといえば、やはり1993年の伊藤智仁ではないだろうか。新人王に輝いたこの年、ルーキーだった伊藤の成績は、14試合登板で7勝2敗、109回を投げて防御率は0.91。ルーキーとしてはまずまずの勝ち星のように思えるが、これは開幕から7月までのわずか2カ月半で残した数字だ。伊藤の武器は、今も“伝説”として語り継がれている高速スライダー。横滑りするように大きく曲がる魔球で、三振の山を築き上げた。4試合連続完投(うち3試合で完封)など快投を続けたが、7月、ヒジに違和感を訴えて登録抹消となる。以降、伊藤が一軍に戻ることはなかった。それでも、伊藤のスライダーのインパクトはあまりに大きく、たった2カ月半の活躍で新人王受賞に至った。その後は故障に苦しみ続けるが、97年には中継ぎとして19セーブを挙げた。現在はヤクルトで投手コーチを務める伊藤は、投手陣のケガに最大限留意しながら指導している。

読売ジャイアンツ



 1950年の表彰開始から2020年シーズンまでチームでは19人が受賞しているが、「最強」の名にふさわしいのは、1958年にチームとしては4人目の受賞となった長嶋茂雄(現巨人軍終身名誉監督)だろう。立大出身の東京六大学のスターで、国鉄のエース・金田正一に4打席4三振の“ど派手”なデビューを飾ると、この年は打率.305(153安打はリーグトップ)、29本塁打、92打点、37盗塁の活躍。本塁打、打点の2冠を獲得しているのだが、打者で主要3部門の打撃タイトル獲得者の新人王は、セ・パ両リーグ通じて史上初の快挙だった。

阪神タイガース



 新人として盗塁王を獲得後、5年連続で同タイトルを獲った赤星憲広や、のちに阪神の監督として2005年にリーグ優勝に導いた岡田彰布、暗黒時代に一躍エースとなり9勝を挙げた藪恵壹など印象に残る阪神の歴代新人王がいるが、やはり1969年に新人王に輝き、きれいな放物線を描くホームランアーチストで、のちにミスタータイガースとまで言われた田淵幸一が阪神における歴代最強の新人王だろう。ルーキーイヤーに22本塁打を放ち、捕手として初めての新人王でもあった。75年には43本塁打でホームランキングとなり、巨人・王貞治の14年連続本塁打王を阻止。通算では474本塁打を放った。

広島東洋カープ



 広島では、1990年に13勝17セーブを挙げた佐々岡真司(現監督)や98年に9勝13セーブを挙げた小林幹英など、ルーキーイヤーに大活躍しながら、新人王を獲れなかった選手が少なくない。新人王を獲得した中では、勝利数は10勝ながら、後半戦から先発に定着すると連戦連勝、逆転優勝への使者となった86年の長冨浩志が印象深い。そのほかでは、2012年に9勝、防御率1点台(1.98)だった野村祐輔、120試合制の中で10勝をマークし、防御率1.91でリーグ2位の20年の森下暢仁がいる。また、新人歴代最多タイの37セーブ、防御率0.86の21年の栗林良吏が新人王を手にできれば、今後、「カープの歴代最強新人王」と呼ばれることになるはずだ。

中日ドラゴンズ



 中日からは過去10人が新人王に輝いている。すべて言えたらかなりの中日ファンだが、その中で最強を一人選ぶなら権藤博だろう。1961年、チームで初めての新人王だ。この年の権藤の成績は、69試合で35勝19敗、防御率1.70。32完投12完封に310奪三振。最多勝、最優秀防御率、奪三振と投手タイトルを総ナメにした。429回1/3の投球回は2リーグ分立後の1950年以降ではプロ野球記録でもある。とにかく毎日のようにマウンドに立ち、「権藤、権藤、雨、権藤」と言われるほどだった。ブリヂストンタイヤからの入団だったが、のちに1年目を振り返った権藤は「プロ野球はナイターだから涼しいところで投げられる。ある意味、楽なものでしたよ」と語っている。

横浜DeNAベイスターズ


横浜・金城龍彦


 1956年に25勝(25敗)の右腕・秋山登や、59年に新人歴代最多記録となる31本塁打で本塁打王と新人王の両方を手にした桑田武も印象深いが、両打ち挑戦2年目の金城龍彦が打ち立てた金字塔は忘れがたい。住友金属時代は最速150キロをマークする剛腕投手として注目されたが、99年の入団後は野手に転向しスイッチヒッターとして打撃を磨いた。2年目の2000年途中からレギュラーの座をつかみ、打率.346で首位打者を獲得。新人王とのダブル受賞はプロ野球史上初の快挙だった。のちに俊足と強肩を生かした外野守備でゴールデン・グラブ賞にも輝いたが、00年は主に三塁を守った。

写真=BBM
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