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プロ野球はみだし録

見習いたい!? 巨人の西本聖が草分け的な存在だった“アクティブレスト”【プロ野球はみだし録】

 

完全オフはプールで


81年は日本シリーズでMVPにも輝いている


 1年の疲れが溜まってきている季節。疲労の蓄積が身体の不調を呼ぶ悪循環に陥り、休日といえば布団の中で地球の重力に抗うことができず、社会的動物の矜持に懸けてトイレに行くのが精いっぱい、という向きも少なくないだろう。

 プロ野球選手も休日の過ごし方は人それぞれだろうが、次元こそ違えど、休日も来たる次の“仕事”に向けての準備期間であることは変わりあるまい。つくづく仕事とは難儀なものだと思うが、ただ横たわって泥のように眠っていれば効率的に疲労が軽減するわけでもないのだから、体というものも厄介なシロモノだろう。

 軽い運動をすることで体力の回復を促していくアクティブレスト。昨今のアスリートにとっては常識となっているが、かつてのプロ野球で、その草分け的な存在だったのが巨人西本聖だった。“怪物”江川卓とエースの座を懸けて激しく争った右腕。空前の騒動を経てプロ入りした江川という天才に、闘志と努力で対峙したのがドラフト外で1975年に巨人へ入団したのが西本。ストイックなまでに練習に取り組む一方で、コーチに頼んで登板の翌日は完全オフにしてもらっていた。

 1980年に先発として初の2ケタ14勝と台頭した西本だが、18勝を挙げてリーグ優勝、日本一に貢献して沢村賞に輝いた81年を例に挙げれば、西本は34試合の登板ながら3完封を含む14完投という数字を残している。投手は先発すれば完投するのが当たり前と思われていた時代だ。西本が完全オフの日に行っていたのがプール。水泳で体を動かしながら体力の回復を早めようとしていたのだ。シーズンオフにはテニスやゴルフをする姿も見られたが、これもアクティブレストの一貫。体を動かしながらも、野球から離れるという気分転換もプラスになったはずだ。

 昨今は在宅ワークで、脳は仕事でアクティブになっても体はレスト、という形容矛盾のような“アクティブレスト”に陥っている人も多いことだろう。健康のため以上に、明日も元気に働くために、ランニングとはいかなくとも、徒然なるままにウォーキングくらいはしなければなるまい。とは思うものの……。

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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