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巨人の「先発中4、5日構想」で、スタミナ抜群の井納翔一は復活できるか

 

移籍元年は本領発揮ならず


今季は不安定な投球に終始した井納


 巨人桑田真澄投手チーフコーチが来季も先発投手を中4日、5日のローテーションで回すことを示唆した。先発投手は中6日の登板間隔を空けることがトレンドになっているが、一昔前は中4、5日で投げることが当たり前だった。求められる資質は投球技術だけではない。スタミナと故障をしない強靭な肉体も必要だ。その点で、この右腕にもチャンスはある。先発ローテーションの一角で期待されながら、5試合登板で0勝1敗、防御率14.40と自己ワーストの成績に終わった井納翔一だ。

 DeNAから昨オフにFA移籍したが、本来の力をまったく発揮できなかった。開幕前にジャイアンツ球場の鉄柵に頭部を直撃して負傷。想定外のアクシデントで出遅れると、移籍後初登板となった3月31日の中日戦(バンテリン)で2回途中4失点KOの乱調で即座に二軍降格を命じられた。救援要員で1カ月後に一軍昇格したが、5月7日のヤクルト戦(東京ドーム)で先頭打者のサンタナに被弾。12日のDeNA戦(横浜)もドラフト2位ルーキー・牧秀悟に左中間中段へ一発を浴びた。19日の広島戦(東京ドーム)でもクロンに満塁アーチと救援4試合で3試合失点と不安定な内容で2度目の二軍降格。その後に一軍のマウンドに戻ることはなかった、

 身長188センチの長身から繰り出される直球、スライダー、フォークの質が高く、完投能力が高い。DeNAの8年間で2ケタ勝利を挙げたのは2014年の11勝のみで、18年以降は3年連続で規定投球回数どころか、100イニングにも届いていないが、昨オフにFA宣言した際は巨人、ヤクルトが獲得に名乗りを上げた。年俸がCランクで人的補償が発生しないことも大きな魅力だったが、潜在能力の高さを評価されたのも大きな要因だろう。

 野球評論家の川口和久氏は今年1月に週刊ベールボールのコラムで、井納についてこう分析している。

「横浜の解説をすることが多いので、昔からよく見ているが、非常に能力が高い投手だな、とずっと思っていた。いいときは真っすぐとスライダーを中心の構成で、ポイント、ポイントでフォークを投げていた。ただ、このスライダーが彼の調子のバロメーターで、これがうまくいかないとフォーク、フォークになる。ただ、フォークがメーンの投球は1回くらいならいいけど、なかなか長いイニングは持たなかった。昨年に関しては、この2種類の変化球がどうこうではなく、真っすぐメーンの投球にしたのが、よかった。非常に質の高いストレートを投げていたが、真っすぐを軸に、怖い者知らずというのか、気持ちよく投げさせたほうがいいピッチングができるタイプだなとあらためて思った」と分析。

背水の陣での奮起に期待


 そして、巨人にFA移籍が決まったことについて、以下のメッセージを送っている。

「特に同一リーグに移籍した投手が新しい球団で、いきなり好成績を挙げるのは簡単じゃない。理由はいくつか考えられるが、一つは自分に関する情報が多すぎることだ。ジャイアンツは間違いなく井納のデータを集めまくっていただろう。入団すると、必ずそれを見せられ、さらに各コーチからあれこれアドバイスされる。それは味方目線とはまた違い、なるほどと思うことも多い。ただ、自分を知るためには、とてもいいことなのだが、情報が多いと、どうしても失敗を恐れ、守りに入りがちになる。投手の長所と短所は紙一重。白紙の状態で投げたほうがいいピッチングができたりする。必要な情報、捨てる情報をセレクトしたうえで、井納にはサインにどんどんクビを振ってでも、攻めていく姿を見たい。井納よ、宇宙人と呼ばれたっていいじゃないか。地球より宇宙のほうがずっと広いんだから。無理に地球人にならず、宇宙人のまま暴れまくってくれ」

 FA移籍2年目は「宇宙人」の本領発揮なるか。背水の陣で奮起が期待される。

写真=BBM
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