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又吉克樹は落合博満から数えて何人目? 中日の歴代FA移籍選手

 

 中日からFA宣言していた又吉克樹ソフトバンク入りが決定した。中日の選手がFA移籍するのは2015年の高橋聡文以来6年ぶりとなるが、過去にどんな選手が中日からFA移籍したのか覚えているだろうか? 中日の歴代FA選手をまとめてみた。

中日のFA選手は又吉で10人目


93年オフ、巨人へFA移籍した落合[左は長嶋監督]


 NPBでFA制度がスタートした1993年から2021年までに、FA移籍した中日の選手は以下の10人だ。
※海外移籍を含む

1993年 落合博満(移籍先:巨人)
2001年 前田幸長(移籍先:巨人)
2005年 野口茂樹(移籍先:巨人)
2007年 福留孝介(移籍先:カブス)
2008年 川上憲伸(移籍先:ブレーブス)
2008年 中村紀洋(移籍先:楽天)
2011年 小池正晃(移籍先:DeNA)
2013年 中田賢一(移籍先:ソフトバンク)
2015年 高橋聡文(移籍先:阪神)
2021年 又吉克樹(移籍先:ソフトバンク)

 FA制度開始初年度には、落合博満が巨人へと移籍した。中日加入を機に、日本人初の1億円プレーヤーになった落合は、在籍7年間で本塁打王、打点王を共に2度獲得するなど、竜の主砲として活躍。しかし、1993年オフにFA制度を使って巨人に加入。当時の会見で「長嶋監督を胴上げする」と話したように、当時監督だった長嶋茂雄への強いあこがれもあっての移籍だった。すでに40歳ということもあり、全盛期ほどの活躍はできなかったが、後に主砲へと成長する松井秀喜など、巨人打線に大きな影響を与えた。

 落合がFA移籍してからしばらく中日でFA宣言する選手は登場しなかったが、8年後の2001年オフに中継ぎの一角だった前田幸長が巨人へとFA移籍した。くしくも落合と同じくロッテからトレードで中日に加入した選手で、FA移籍先も同じく巨人となった。巨人入りした前田はセットアッパーとして活躍し、2002年にはチームの日本一にも貢献。一方、人的補償として巨人から加入した平松一宏は、2003年に5勝3敗の成績を残したが、首脳陣を満足させることはできず、2005年に自由契約となっている。

 2005年オフには野口茂樹が巨人へとFA移籍。1999年に19勝を挙げるなどエースとして活躍していたが、ケガの影響もあり2002年以降は低迷。登板機会が減ったため、活躍の場を巨人に求めての移籍だったが、残念ながら巨人でも先発陣に食い込めず。2008年には一軍登板なしに終わり、自由契約となった。巨人から人的補償で中日に入団した小田幸平は、二番手捕手として山本昌のピッチングを支えるなど活躍。当時監督だった落合が後に「大もうけだった」と回顧するなど、このFAで得をしたのは中日のほうだった。

投打のスター選手がFAで海外に挑戦


福留は08年からメジャー・リーグでプレー[写真=Getty Images]


 2007年には生え抜きのスターだった福留孝介が、故障者特例措置で海外FA権を取得。同年10月12日にこの権利を行使し、同年12月にカブスと4年53億円(当時)という大型契約を結んだ。福留はカブス、インディアンス、ホワイトソックス、ヤンキース・マイナーでプレーし、2013年に日本球界復帰。阪神で8シーズンを過ごした後に、2021年に14年ぶりとなる古巣復帰を果たしている。

 福留がメジャーへと旅立った翌年の2008年には、エースだった川上憲伸が海外FA権を行使。翌2009年1月にブレーブスと契約を結んだ。メジャーでも活躍が期待されたが、1年目は7勝12敗、2年目は1勝止まりとなり、マイナー生活を経て2012年に中日へ復帰。しかし、右肩の故障などけがに悩まされ、満足な投球ができないまま2015年に退団した。その後はリハビリを続けながら現役復帰を模索するも、残念ながら2017年に現役引退となった。

 2008年オフには中村紀洋もFA権を行使し、楽天に移籍している。中村は近鉄から海外挑戦したのち、オリックスを経て2007年に中日に育成枠で加入。持ち前の打撃力を発揮して支配下登録を勝ち取り、この年はチームの日本一に貢献する活躍を見せた。翌2008年も140試合で起用されるなど打線の軸としてプレーしたが、シーズンオフにFA権を行使。最終的に楽天加入が決まり、2002年に続く、キャリア2度目のFA移籍を果たした。

古巣復帰がトレンドに(?)


 2011年は小池正晃がFAでDeNAに移籍した。もともと小池は1999年ドラフト6位で横浜に入団し、2008年シーズン途中に石井裕也とのトレードで中日に加入した選手。中日では高い守備力と勝負強さを生かして活躍し、中日最終年の2011年も満塁弾を放っていた。しかし、73試合と出場機会が少なかったことから、出番を求めて古巣に復帰。この年は小池以外にも鶴岡一成サブローと計3人が古巣にFAで復帰しており、翌2012年も2選手が同様のケースで古巣にFA移籍。古巣復帰がトレンド(?)になっていた。

 2013年オフは中田賢一がFAでソフトバンクに移籍している。思うようなピッチングができないシーズンが続いていたが、2007年には14勝を挙げるなど活躍した逸材。そのため、阪神、ヤクルト、ソフトバンクが獲得合戦を繰り広げたが、最終的に地元球団であるソフトバンクを選んだ。ソフトバンクでは2014年に11勝を挙げ、以降も勝負どころで好投を見せる活躍を見せた。その後、初めて未勝利に終わった2019年オフに、阪神へと無償トレードで移籍。阪神ではかつての輝きを放つことができず、今季をもって現役を引退した。

 中日で中継ぎとして重用されていた高橋聡文は、2015年オフにFA権を行使。中日は複数年契約を提示するなど残留を希望して交渉を行ったが、当時阪神の監督だった金本知憲からの熱烈なラブコールも後押しし、阪神入りとなった。阪神1年目の2016年は54試合で20ホールド、翌2017年は61試合に登板と中継ぎの軸としてプレー。しかし、2018年に突如不調に陥り、2019年も浮上のきっかけがつかめず一軍登板機会がほとんどない状況だった。そのため、この年限りでの引退を表明。16年の選手生活に別れを告げた。

 これまでに中日からFA移籍した選手を振り返ってみた。落合の移籍も約30年前。落合の巨人入りは球界が震撼した出来事だった。今回の又吉の移籍は、高橋以来6年ぶり、中日としては通算10人目のFA移籍選手となる。独立リーグ出身選手では史上初、また今季唯一のFA移籍ということもあって動向が注目されたが、果たして移籍先のソフトバンクではどのような投球を見せてくれるのか、又吉の活躍に期待したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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