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中継ぎエースの移籍は初? 仲田幸司、石井一久…パにFA移籍したセの投手たち

 

 中日からFA宣言していた又吉克樹ソフトバンク入りが決定した。2014年の入団以降、8シーズンにわたりプレーしたセ・リーグからパ・リーグへと移籍することになる。パ・リーグはDH制など大きく環境が異なるが、同じように過去にセ・リーグからパ・リーグにFA移籍した選手は何人いるのだろうか?

FAで移籍した投手はマイク仲田が最初


95年オフ、阪神からロッテへFA移籍した仲田


 1993年にFA制度がスタートして以降、セ・リーグからパ・リーグのチームにFA移籍した選手は今回の又吉を除くと11人いる。

●セからパに移籍した選手
松永浩美(阪神 → ダイエー)
仲田幸司(阪神 → ロッテ)
稲葉篤紀(ヤクルト日本ハム)
小久保裕紀(巨人 → ソフトバンク)
石井一久(ヤクルト → 西武)
中村紀洋(中日 → 楽天)
内川聖一(横浜 → ソフトバンク)
サブロー(巨人 → ロッテ)
平野恵一(阪神 → オリックス)
中田賢一(中日 → ソフトバンク)
木村昇吾(広島 → 西武)

 このうち、投手で最初にパ・リーグへとFA移籍したのが仲田幸司だ。興南高のエースとして活躍し、1984年ドラフト3位で阪神に入団。1年目は一軍登板することはなかったが、2年目の1985年に初先発のチャンスをつかむと、5月12日のヤクルト戦でプロ初勝利をマークした。翌1986年は先発の一角として起用され7勝、1987年も負け越したものの8勝と着実にチームの信頼を積み重ねた。その結果、1988年には自身初の開幕投手に指名される。しかしこの年は残念ながら6勝。再び開幕投手となった翌1989年も4勝と苦しんだ。

 その後、1992年に自己最多の14勝を挙げるも、翌年は再び調子を落とし、1995年はついに1勝もできずに終わった。仲田はこの年のオフにFA権を行使し、かねてより慕っていた広岡達朗がGMを務めるロッテヘと移籍。ロッテではフォームを変更するなど復活のきっかけを探したが、結局2年間で1勝もできずに終わり、1998年をもって現役を退いた。

西武移籍の石井は唯一の成功例?


07年オフ、ヤクルトから西武へFA移籍した石井


 セ・リーグからパ・リーグにFA移籍した2人目の投手が石井一久。2001年までヤクルトでプレーし、2002年にメジャーに挑戦。アメリカでの4シーズンで通算39勝を挙げたのち、2006年に古巣ヤクルトへと復帰した。復帰した2006年は11勝、翌2007年は9勝を挙げ、シーズンオフに、この年取得していたFA権を行使しての移籍を模索した。球団は慰留に務めるも、移籍の意思は固く、最終的に西武へと移籍。FA制度がスタートしてから2人目となる、投手でのセ・リーグからパ・リーグ挑戦となった。

 西武では貴重な左腕として活躍し、加入初年度は11勝10敗で勝ち越し。日本シリーズでも好投を見せ、チームの日本一に貢献した。翌2009年も9勝、2010年には藤井秀悟に次ぐ、史上9人目の全球団勝利(近鉄を除くため正確には12球団勝利)を達成している。2011年は調子を落とすも、2012年は10勝5敗と大きく勝ち越し。しかし、2013年は肩の不調で登板機会が減り、この年限りでの引退を表明。西武在籍6年で45勝40敗と好成績を残し、同じ左腕投手であり、後に西武のエースへと成長する菊池雄星にも大きな影響を与えた。西武にとってはまさに大成功と言えるFAだったのではないだろうか。

中日からソフトバンクへのFA移籍は中田が1人目


13年オフ、中日からソフトバンクへFA移籍した中田


 2013年オフには、中日の中田賢一がFAでソフトバンクに移籍した。1年目から開幕ローテーション入りを果たすなど、将来を期待されていた中田は、いきなり8勝3敗と好成績を残すことになる。翌年は7勝と思うように飛躍できなかったが、3年目の2007年はチームトップの14勝をマーク。一躍エースへと成長した。しかし、勝ち星はこの14勝がキャリアハイとなり、翌年以降は負け越すシーズンも増加。その後、1勝しか挙げられずに苦しんだ2013年オフに、新天地での活躍を目指しFA権を行使した。

 調子を落としているものの、14勝を挙げるなど活躍しただけに、中日も残留を要請。他球団ではヤクルト、阪神、ソフトバンクが獲得に名乗りを上げた。最終的に、中田の地元、九州の球団であるソフトバンクが獲得に成功。九州の地で心機一転した中田は、2014年に11勝を挙げるなど再び輝きを見せた。以降も2ケタ勝利には届かなかったが、苦しみながらも常に勝ち越すピッチングを披露。しかし、2019年はシーズン未勝利に終わり、この年のオフに阪神へと無償トレードで移籍。残念ながら阪神では思うようなピッチングができず、今季で現役を引退した。

 セ・リーグからパ・リーグへとFA移籍した投手は、実は上述の3人しかいない。今回、又吉で4人目となったが、実はレアケースなのだ。過去の3人のうち、仲田は残念ながらパ・リーグでは好結果を残せず。石井は大成功、中田も負け越したシーズンがなかったことから、「成功」といえるのではないだろうか。これまでとは異なるリーグに挑戦する又吉はどのような活躍を見せてくれるのか。来季のピッチングに注目したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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