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阪神・大山悠輔は外野コンバートが最も輝く?「打撃に好影響」の指摘も

 

不調によりスタメン落ちも経験


今季は安定した成績を残せなかった大山


 開幕から首位を独走しながら、シーズン終盤にヤクルトに抜かれて16年ぶりの優勝を逃した阪神。野手キャプテンを務めた大山悠輔も悔しいシーズンになった。故障での離脱に加え、打撃不振で四番を外れるなど、129試合出場で打率.260、21本塁打、71打点。秋季練習では本職の三塁だけでなく、一塁や外野の練習に取り組む姿が見られた。

「矢野監督が大山の外野起用を示唆しました。シーズン中からこのコンバートは噂されていました。1年目の佐藤輝明が右翼を守りましたが、大山が故障で離脱した時に本職の三塁を守らせたら、想像以上に動きが機敏で送球が安定していた。大山の三塁の守備は決して下手ではないが、強肩を生かせる外野に回った方がチーム全体の守備力も強化されると思います。内野から外野に回ることで守備の負担が減り、打撃に好影響が出た選手は多い。来年の大山は打撃部門でタイトル争いに割って入る可能性が十分にあると思います」(スポーツ紙記者)

 V奪回へ、大山の存在は不可欠だ。昨年は116試合出場で打率.288、28本塁打、85打点といずれも自己最高の成績をマーク。惜しくも本塁打王に届かなかったが、巨人岡本和真と熾烈なタイトル争いを繰り広げた。今季は「不動の四番」として期待されたが、故障から復帰した5月下旬にチャンスでブレーキになる場面が目立ち、6月29日のヤクルト戦(甲子園)で六番に降格。その後再び四番に戻ったが不調が続き、スタメン落ちを経験した。

 大山が打たなければチームは活気づかない。9月に入ると息を吹き返した。3日の巨人戦(甲子園)で3日に猛打賞3打点と気を吐くと、4日の2戦目は1点差を追いかける無死一塁でビエイラの156キロ直球を振り抜き、15号逆転サヨナラ左越え2ラン。8日のヤクルト戦(甲子園)でも同点の6回二死一塁で左中間に運ぶ決勝16号2ランを放った。

球団OBは打撃で評価も


9月4日の巨人戦では逆転サヨナラ2ランを放った大山


 球団OBの新井貴浩氏は8月下旬に週刊ベースボールのコラムで、大山の成長について語っている。

「彼を見ていて、昨年あたりから変わったように思えます。構えから四番の風格というのが出てきた。独特の空気感を持っていて、テレビの画面越しにも構えたときの姿から彼がすごく大きく見えるんです。スゥーと立って『いらっしゃい』というような、余裕を感じる。それまではいろいろと試行錯誤しながらだったと思います。そこで自分なりの方向性を見つけたのか、どんどんとスイングしていけるようになりました。結果どうこうではなしに、とにかく自分がスイングできると思ったら初球から振れるようになった。この『初球から振れる』というのが、すごく大事なんですよ。なぜかと言ったら、振れる準備ができているということだから。準備ができているということは、自分の間合いで打席に入れているのはもちろん、テクニカル的な部分でもしっかりレベルアップしている。打席での迫力も出て、その変化というのは昨年から段違いに伝わってきました」

 シーズン終盤に良い時の状態を取り戻したが、今季はスランプの時期が長かった。能力の高さを考えると打率3割、30本塁打は十分に残せる。「不動の四番」として1シーズンを戦い抜き、来季こそセリーグの頂点に立つ。

写真=BBM
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