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今季4勝も9000万円増の武田翔太 秋山翔吾が「一目置いた右腕」は復活なるか

 

15年に13勝、16年に14勝をマーク


今季は前半のみの登板で4勝に終わった武田


 この年俸大幅アップを予想できた野球ファンは少ないだろう。ソフトバンク武田翔太が、今季年俸6000万円から9000万円増の1億5000万円プラス出来高付きでサイン(金額は推定)。4年総額6億円をベースとする年俸変動制でモチベーションも高まる。武田は今季12試合登板で4勝5敗、防御率2.68。右手指の故障などで後半戦は登板なしと戦力になれなかった。来季中に国内FA権を取得するのを見越して球団が査定に反映したことを認めたが、成績不振にもかかわらず異例の大型契約は期待の大きさの表れだ。

 本来ならば、千賀滉大と共にダブルエースとして稼働しなければいけない右腕だ。手元でスライドする独特の球質の直球に、縦に大きく割れるドロップカーブ、縦と横の2種類のスライダーを軸に打者を翻弄する。高卒1年目の12年に8勝1敗、防御率1.07と鮮烈な輝きを放つ。ピンチでも物おじせず、マウンド上で笑顔を浮かべる姿が話題に。強心臓右腕は15年に13勝、16年にチーム最多の183回を投げて自己最多の14勝とエースとしての実績を積み上げていった。

 西武在籍時に武田と対戦した秋山翔吾(現レッズ)は、16年9月に週刊ベースボールのコラムでこう評している。

「『誰のストレートが手強い?』と聞かれてまず頭に思い浮かぶのは、ソフトバンクの武田(翔太)でしょうか。今年もチーム自体が1勝4敗(防御率3.28)とやられています。ストレート、カーブが主武器ですが、武田のストレートは本当に手元でキュッと曲がる“真っスラ”なんですよね。それはカットボールとも違う。カットは結局、軌道の途中でそれだと分かる球。でも、武田の“真っスラ”は投げ終わってみて『あっ、真っスラだったんだ』と分かるような感じ。それほど手元ギリギリで変化する感覚なんです」

「それに、あの大きく曲がるカーブがある。当然、この球種もマークしなければいけない。頭からその存在を消すことができないから厄介です。それに、例えば主武器がストレートとフォークだったら似たような軌道なので対応が可能になってくる。でも、カーブは独特の変化をする球種ですから。余計にストレートが生きてくるんですよね」

見えてきた光


 球界を代表する安打製造機も一目置く本格派右腕だったが、17年以降は6勝、4勝、5勝、2勝と精彩を欠いている。度重なる故障に加え、好不調の波が激しく集中打を浴びて大量失点するケースも。投球フォームで試行錯誤して苦悩し、マウンド上の表情もこわばっていた。

 だが、光は見えている。今年は5月18日の西武戦(メットライフ)で9回5安打2失点で投げ切り、3年ぶりの完投で3勝目をマーク。交流戦でも2試合連続2ケタ奪三振を奪った。後半戦は登板なしに終わったが、良いときの再現性を高める手ごたえはつかんだだろう。12試合登板でクォリティー・スタート(6イニング以上を投げ、かつ3自責点以内)は8試合。QS率66.7%は決して低い数字ではない。

 まだ28歳と若く、これから投手として脂が乗り切る時期に入る。18年にエースナンバー「18」を背負って以降は目立った活躍ができていない。チームは5年連続日本一を逃し、藤本博史新監督が新たに就任した。武田も気持ち新たに、先発ローテーションの軸として投手陣を引っ張る活躍が求められる。

写真=BBM
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