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新外国人に負けられない 中田翔と中島宏之…来季の「一塁の定位置」奪うのはどっち?

 

今季は固定できなかった一塁


中島[左]、中田は来季、レギュラーポジションをつかめるか


 V奪回を狙う巨人で定位置が確定しているのは、主将の遊撃・坂本勇人と2年連続本塁打王、打点王を獲得した「不動の四番」の三塁・岡本和真だけではないだろうか。

 このポジションも激戦区になるだろう。今季固定できなかった一塁だ。メジャー通算196本塁打の実績を引っさげてジャスティン・スモークが2年契約で入団したが、コロナ禍で家族を会えないことを理由に6月上旬に退団した。今オフも一塁を守る新外国人を獲得する可能性が十分に考えられるが、この2人はレギュラー獲りを狙って目の色を変えるだろう。日本ハムからシーズン途中に電撃加入した中田翔とチーム最年長の中島宏之だ。

 中田は日本ハムで「不動の四番」として期待されたが、状態が上がらずに苦しんだ。後半戦の復調を目指したが、チームメートへの暴力事件が発覚し、8月11日に一、二軍戦の試合無期限出場停止処分が下された。そして、同月20日に巨人へのトレード移籍が発表される。電撃トレードは日本ハム・栗山英樹監督から巨人・原辰徳監督への一本の電話がきっかけだったという。原監督は中田の暴力行為について重く受け止めた上で、「感謝を忘れずに、また新たなチームで大きな希望を持って来てくれたと思います。しっかりと戦いざまを見せてもらいたい。私自身もしっかりとサポートしてベストを尽くす」と期待を込めた。

今季は輝きを取り戻せなかった中田


 即一軍で起用されたが、新天地で本来の輝きを取り戻せなかった。34試合出場で打率.154、3本塁打、7打点。一塁の守備力は球界屈指だが、打たなければスタメンで起用されない。3度の打点王を獲得し、長距離砲としての実績は申し分ない。来年は野球人生をかけたシーズンになる。

 39歳の中島は、崖っぷちからはい上がってきた野球人生だ。西武では2006年からの5年連続を含む打率3割を6度マークし、08年は.410、09年は.398で2年連続最高出塁率のタイトルを獲得。09年は173安打で最多安打に輝くなど、球界屈指の強打者だった。米国でメジャー出場は叶わなかったが、オリックスを経て18年オフに原監督のラブコールを受けて巨人へ。

 デーブ大久保氏は週刊ベースボールのコラムでチームに与える好影響を綴っている。

「このようなタイプは巨人にはいないと思います。いい血が巨人の中に入ったなあ、と思いますね。時に言いたいことも言いますが、それがわだかまりになるようなことはないんです。またあるときは、5歳児の子どもと話しているような感覚になるときもあるんです。チームメートともうまくやるんですが、特定の誰かとつるむということもないので、当時は彼女がいるかどうか、チームメートの誰も知らないくらいプライベートは謎、と言われていました。一方で、練習をしているときは、どれだけやるんだというくらい集中して延々と続ける選手なのです。巨人の選手たちはその練習態度も勉強になると思います。性格的にも、どのチームに行っても浮かないでしょうし、好かれるタイプの選手ですから、巨人にとってはいいことだらけだと思いますよ」

控えに甘んじるつもりはない


2000安打も視野に入る中島


 だが、移籍1年目の19年は43試合出場で打率.148、1本塁打、5打点。期待に応えられず、限界説もささやかれたが、プライドをかなぐり捨ててよみがえる。代名詞だったバットを大上段に掲げる構えからグリップの位置を両肩より下げ、左足の上げ幅を小さくした打撃フォームに改造。昨年は100試合出場で打率.297、7本塁打、29打点と復活し、今季も4月に新型コロナウイルス感染で出遅れたが、81試合出場で、打率.271、6本塁打、26打点をマーク。得点圏打率.385と勝負強い打撃でチームに貢献した。

 ベテランと呼ばれる年だが、中島は控えに甘んじるつもりはまったくないだろう。通算2000安打の大記録にも残り101安打に迫っている。中田と中島。新外国人や若手選手を含め、一塁のレギュラーをつかむのは誰になるだろうか。

写真=BBM
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