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阪神のハイレベルな来季先発ローテ争い 西勇輝も「当確ではない」の声が 

 

「らしくない」投球が続いて


今季は6勝と不甲斐ない成績に終わった西


 この男の状態が万全だったら……と悔やんだ阪神ファンは少なくないかもしれない。リーグ優勝にあと一歩届かなかった今季。西勇輝も白星から見放されて苦しんだ。

 オリックスで先発ローテーションとして長年稼働してきた右腕は、環境が変わってもその安定感は変わらなかった。阪神にFA移籍した2019年は10勝をマーク。新型コロナウイルスの影響により120試合制で行われた昨年も3年連続2ケタの11勝5敗でリーグ3位の防御率2.26をマークし、通算1500投球回をクリアした。

 向上心旺盛で研究熱心。阪神に移籍して開幕直後に週刊ベースボールの取材で、西は自身の野球哲学を垣間見せている。

「結果よりも、そっち(内容)の気持ちがめちゃ強いですね。野球は数字が出るスポーツですが、僕はそこをくつがえして、内容で証明したいと思っています。例えば、(開幕戦の)ヤクルト戦の7回に青木(宣親)さんに打たれたヒットは、個人的には飛んだ場所がよかっただけで、実際はセカンドゴロだと思っているんです。でもヒットという『結果』が出てしまう。多分、青木さんもあれはヒットだとは思っていないと思うんです。そういう部分で、内容を重視したいです。実際に阪神には、成績よりも内容を評価してもらったので、移籍を決めました」

 阪神に移籍して「変える部分」について質問が及ぶと、こう語っている。

「今のところはないです。というのは、オリックスで培ってきたものをしっかり出すことだけだと思っていますので。阪神と4年契約を結ばせてもらっていますが、この4年間で必ずつまずくときがくると思うんです。そのときに改善があると思うんです。でも今は今のままで自分がどこまでいけるかをやっていきたいです」

 今季は区切りのプロ通算100勝に王手をかけながら、6月25日のDeNA戦(甲子園)から6連敗。2カ月半も白星から遠ざかった。前半戦終了時点では4勝6敗、防御率3.19と打線の援護に恵まれない登板が続いたが、後半戦は大量失点で崩れる「らしくない」投球が続いた。6勝9敗、防御率3.76と不本意な結果に終わり、巨人とのCSファーストステージは登板機会がないまま終戦を迎えた。

2ケタ勝利はノルマ


今季の投球内容を見つめ直し、来季は1年間安定した投球を続けたい西


 エース復活を目指す来季だが、チーム内で激しい競争が待ち受けている。今季最多勝の青柳晃洋、2年連続2ケタ勝利の秋山拓巳、新人の昨季10勝をマークした伊藤将司、球界を代表するエースになる可能性を秘めた高橋遥人、今季9勝と安定感が光るガンケル……。アルカンタラ、救援から先発に挑戦する及川雅貴、「先発志願」の藤浪晋太郎もいる。

「先発ローテーションの座を巡るハイレベルな争いは12球団トップクラスだと思います。西も現状では先発当確とまでは言い切れない。ただ、リーグ優勝を狙う上で不可欠な存在です。2ケタ勝利はノルマでタイトル獲得も十分に狙える力を持った投手ですし、今年の悔しさを晴らしてほしいですね」(スポーツ紙記者)

「投げる哲学者」の西は自身の投球を振り返り、改善しなければいけない点を当然見つめ直しているだろう。先発ローテーションの座を勝ち取り、来季はどんな投球を見せてくれるだろうか。このままでは終われない。

写真=BBM
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