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飛距離は球界屈指の中日・石川昂弥 「結果が出なくても使い続けるべき」の声が

 

立浪監督も感じた高い野球センス


3年目の22年、ブレークが期待される石川


 昨季はリーグ断トツ最下位の405得点と貧打にあえいだ中日。打線の強化が急務な状況は若手にとってチャンスと言える。その中で稀少価値の和製大砲として覚醒が期待されるのが石川昂弥だ。

 東邦高では3年春のセンバツで全国制覇を達成。エースで主軸としても高校通算55本塁打を放ち、ドラフトではオリックス、中日、ソフトバンクの3球団が1位指名で競合。地元の中日が当たりクジを引き、石川は1年目の目標を新人王、将来の目標は三冠王とぶち上げた。

 攻守走で高い野球センスを見せる。とりわけ周囲の目をクギ付けにしたのは球を遠くへ飛ばす能力だ。フリー打撃ではサク越えを軽々と連発する。ただ度重なる故障に襲われた。昨年は2月の春季キャンプで左肩腱板炎により戦線離脱。7月12日に初の一軍昇格を果たし、同日の広島戦(ナゴヤドーム)でプロ初安打となる左翼線二塁打を放つなど14試合に出場した。だが、今年も6月にファームで死球を受けて左尺骨骨折で3カ月以上離脱。一軍出場なしと悔しいシーズンになった。

 立浪監督は昨年12月に週刊ベースボールのコラムで、石川についてこう分析していた。

「間近で見たのは20年の春季キャンプでしたが、バットをしっかり振れるだけでなく、力任せではない柔らかいスイングをしていました。間違いなく、近い将来のドラゴンズの四番候補と言っていいでしょう。足も速く、肩も強い。走塁やサードの守備面でも高い野球センスを感じました」

 高く評価しながらも、修正しなければいけないポイントを指摘している。

「当然、課題はたくさんあります。バッティングに関して一番気になったのが、ボールをとらえるポイントが近過ぎることです。ステップした足より中にあるので、どうしても差し込まれることが多く、甘い球をファウルや空振りにしてしまうことも目立ちました。ボールを引き付けて打つというのは悪いことではないのですが、石川選手の場合、中に入り過ぎです。引き付けながらも、もう少し前でさばく、と言えばいいのでしょうか。今は自分のポイントがつかめていないようです。これは高校で長打力を発揮した選手には珍しくないことでもあります。要は金属バットを使っていたときのクセですね。金属バットでは多少、差し込まれても飛びますので、長打力のある選手、バットを強く振れる選手ほど、本来のその選手のポイントより中に入れてしまうことが多い印象があります」

一気に大化けする可能性


新しい首脳陣の下でその才能を開花させたい


 まだまだ粗削りだが、その分伸びしろがあるともいえる。

「クセというのは、こうやって言葉にすると簡単に聞こえるかもしれませんが、長い期間で体に染みついていることでもあり、それを修正するのは簡単ではありません。しかし、それをつかまなくてはプロの世界で一流のバッターにはなれません。逆に言えば、石川選手の打撃センスがあれば、自分のポイントをつかみ、そこで打てるようになることで、一気に大化けする可能性もあります」

 今年の秋季キャンプでは立浪監督、中村紀洋打撃コーチが石川を熱心に指導する姿が見られました。

「石川はモノが違います。あれだけ飛ばせる選手はなかなかいません。飛距離は現時点でも球界屈指ではないでしょうか。これから一軍の壁にぶつかることも当然ありますが、個人的には打てなくても我慢して使い続ける価値がある選手だと思います。立浪監督、中村コーチの教えを身につけて実戦で結果を出すことができるか。小さくまとまらずに豪華なスイングを貫いてほしいですね」(スポーツ紙デスク)

 プロ3年目の2022年は石川にとって特別なシーズンになりそうだ。

写真=BBM
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