6勝7敗、防御率3.19。菅野智之にとって、昨季は成績には表れない苦闘を経験したシーズンだった。
メジャー挑戦を検討し、ポスティングの末に残留を選んだオフを経て、球団史上最高額となる推定年俸8億円の大型契約を結んだ。「また日本一にチャレンジできるチャンスをいただいた。すべて前向きにとらえて、今はもう日本一しか考えていない」と再出発を誓ったが……。
前半戦はコンディショニングに苦戦し、4度の離脱の異常さ。目標としてきた東京五輪も、一度は日本代表に内定しながら辞退を余儀なくされた。「悔しいし、どうにもできない感情。苦しくつらい思いもした。いろんな思いが集約された」と苦悩の日々を過ごした。
だが、エースがそのまま終わるはずがない。「チームに迷惑をかけてきた分、ここからフル回転で取り返していきたい」と徐々に状態を上向かせた後半戦は先発ローテーションを守り、ラスト7試合は防御率1.99。打線が極度の不振に陥っており、白星には恵まれなかったものの、本来の投球を取り戻しつつあった。
オフの契約更改では2億円ダウンの推定年俸6億円でサイン。メジャー挑戦は封印して、日本一奪回に懸ける。エースは昨季の悔しさを糧にして、さらなる成長を遂げる。
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