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川口和久WEBコラム

8回の男・山口鉄也、今度は最強の投手コーチで再び巨人の力になれ/川口和久WEBコラム

 

中5日でリリーフに負担も


現役時代の山口鉄也


 巨人の投手コーチ時代、「スコット鉄太朗」とも言われた勝利の方程式があった。

 スコット・マシソン、山口鉄也、西村健太朗の3人のリレーだ。

 相手チームのコーチからは「巨人戦は7回までに勝ち越していないと勝てない」と言われたことがある。最高の褒め言葉だね。

 原辰徳監督の2期目だったが、よく言っていたのは「ウチのリリーフは山口鉄也がいてこそ」という言葉だった。彼は主に8回を担当するセットアッパーで、入団2年目から9年連続60試合以上を投げた鉄腕だ。

 以前も書いたことがあるが、マウンドに上がるまでは弱気の塊、いざプレーがかかると強気の塊となる不思議な男だった。

 あとは、ほとんどしゃべらない。ニコニコと礼儀正しいのだが、「はい」とか「すみません」とかばかり。言葉ではなく、ピッチングで自分を表現する男だった。

 その山口が20年からコーチになったのには驚いたが、昨年途中から一軍に昇格し、今季も継続となった。原監督の厳しい目に応えたということなのだろう。

 山口は、大きく変わった巨人の一軍コーチングスタッフの中でキーマンになる、いやなってほしい男でもある。

 理由は2つだ。

 1つは若手選手のケア。若大将、原監督も63歳だ。ディフェンスチーフコーチの阿部慎之助は迫力満点の男だし、桑田真澄はレジェンド。若い選手は、少し距離感があると思う。

 それを埋めるのが、山口だと思う。選手と近く、優しい男だから選手にしっかり寄り添える。

 もう1つは巨人の原監督が来季、先発を中5日で回したいと言っているからだ。

 巨人は昨年も9月終盤にローテを詰めたが、成功したとは言えない。あと付けじゃなく、俺はうまく回らないんじゃないかと思って見ていた。中6日と中5日は同じようで違う。いきなりではなく、調整法などのシミュレーションを春のキャンプから繰り返すことが必要だと思ったからだ。

 さらに今季に関して言えば、中5日で先発の数は減らせるかもしれないけど、100球はさらに厳守になるだろうし、しかも延長復活でフルシーズンとなったらリリーフ陣の負荷は増す。

 リリーフのやり繰り、要は選手のコンディションの見極めの眼力、メンタル面のケアが今まで以上に重要になってくるはずだ。

 山口は眼力はあると思うし、リリーフ経験、さらに時々無茶をする原野球の経験も豊富だ。あとは言葉力を強化し、いいコーチになると勝手に期待しているよ。
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