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ソフトバンクにFA移籍の又吉克樹 「史上最強セットアッパー」の声も

 

昨季は守護神も


中日からFAでソフトバンクに入団した又吉[写真=[C]SoftBank HAWKS]


 昨季は5年連続日本一を逃し、まさかのBクラスに転落したソフトバンク。藤本博史新監督の下で再スタートを切る中、FA補強で複数球団との争奪戦を制して獲得したのが又吉克樹だ。

 昨季は救援陣がそろわずに苦しんだ。守護神・森唯斗が左ヒジの痛みが回復せず5月下旬に手術へ踏み切るなど4カ月以上戦線離脱。森の代役で守護神を務めたL.モイネロ岩嵜翔も故障で次々に離脱する緊急事態に。板東湧梧甲斐野央が抜擢されたが経験不足は否めない。救援失敗が続きなかなか固定できなかった。接戦に強いのが王者たるゆえんだったが、昨季は1点差ゲームで8勝19敗と大きく負け越し。勝負強さが影を潜めた。

 このチーム状況で獲得に動いたのが又吉だった。今季は救援でチーム最多の66試合に登板。3勝2敗8セーブ33ホールド、防御率1.28。勝利の方程式に不可欠なセットアッパーとして稼働し、R.マルティネスが不在の時期は守護神も務めた。右サイドから球威十分の直球、スライダー、シュート、チェンジアップとすべての球種の精度が高い。ダルビッシュ有(パドレス)直伝のカットボールも効果的で左打者の懐にどんどん投げ込む。直球との見極めが難しいため、打者は詰まらされて凡打になるケースが多かった。

「史上最強のNo.1セットアッパーと言って良いでしょう。安定感は群を抜いていた。又吉は投球技術も高いが、心身共にタフなところも一流の証です。先発が早いイニングから崩れてマウンドに上がっても相手打線の勢いを止められるし、セットアッパー、抑えでもピンチに動じずに高いパフォーマンスを発揮できる。パ・リーグでは交流戦しか登板機会がなかったが十分に通用するでしょう」(スポーツ紙記者)

 又吉も新天地で自分に求められる役割は理解している。入団会見で、「中日での8年間は言い方がマイナスに捉えられるかもしれませんが、僕は『便利屋』をやってきた。困ったときに又吉、誰かがいないときに又吉、今年は抑えもやらせてただきましたし、そこをすべてできるというのが自分のセールスポイントだと思っている。言われればどこでも行く。その中で代わりのない存在になっていきたいなと思います」と力強く誓っている。

努力を積み重ねてプロへ


 決して野球エリートではない。沖縄で生まれ育ち、西原高で直球は最速117キロだった。同学年の東浜巨は沖縄尚学高のエースで、高3春のセンバツで全国制覇。雲の上の存在だったが、環太平洋大、独立リーグ・香川でコツコツと努力を積み重ねて中日へ。球界屈指のリリーバーに上り詰め、東浜とチームメートになる夢がかなった。

 ファンサービスにも熱心なことで知られる右腕は中日時代に自身のツイッターで、グラウンドでは見られないナインの素顔を積極的に発信。ファンから「又吉広報」と愛されていた。ソフトバンクでも入団会見に同席した三笠杉彦ゼネラルマネジャーに「SNS活動」の許可を直接受け、「1枚の写真でファンに喜んでいただけるならドラゴンズのときと変わらず、タイミングを見て写真を上げてやっていきたいなと思います。まずは自分がしっかり結果を出して、SNSでも喜んでいけるような行動をしていきたい」と約束した。

 野球にストイックで理論派。若手の良きお手本にもなることは間違いない。V奪回へ、又吉はユニフォームが変わった今年も腕を振り続ける。

写真=BBM
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