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「全部勝ちにいく」史上6度目の10戦全勝優勝へ “逆算”で最高の準備を進めていく法大

 

マネジャーの熱量


2022年の法大の中心選手として期待される3人。左から扇谷莉投手、主将・齊藤大輝内野手、村上喬一朗捕手で、いずれも大学卒業後の「プロ志望」を口にしている


 目標とは、何のためにあるのか。就任2年目の法大・加藤重雄監督は練習始動日の1月8日、冒頭のミーティングでこう言った。

「口にするだけでなく、達成するためにある。目的地へ到達するためには、裏付けとなる取り組みをしないといけない。目標を立てるならば、逆算をしろ! と言いました」

 一塁ベンチ前のホワイトボードには「リーグ戦開幕まであと90日」とあった。また、2月3日から予定される「鴨川キャンプまで25日」とも書かれてあった。主将・齊藤大輝(4年・横浜高)は「意識づけをしたほうがより、モチベーションも上がる」と語る。

 2021年秋の開幕前、法大は新型コロナウイルスの集団感染により、活動停止となった。出場辞退も覚悟したが、東京六大学野球連盟ではリーグ戦開催を模索。開幕を1週間遅らせ、日程変更により、法大が10試合を完遂できるスケジュールを整えた。加藤監督は「歴史に穴を空けなくて、本当に良かった。連盟関係者、5校の絆は決して忘れません。しっかりとした形で、結果で報いるのが私たちの使命です」と、背筋を伸ばす。神宮で野球ができる感謝を体現する姿勢は変わらない。常日ごろから感染予防対策を徹底する学生たちの思いも一緒だ。

 昨秋は1勝3敗6分の5位。活動再開以降は対外試合を組めず、ぶっつけ本番で開幕を迎えた。言い訳はしないが、準備不足が順位に出たことは否めない。11月の新チーム結成以降は「われわれは挑戦者。ギリギリまで全体練習をやろう」(加藤監督)と、年末の12月23日まで体を追い込んだ。

「リーグ戦の戦力は、拮抗しています。圧倒的な力がないと、優勝には届かない。人の何倍も練習しないと。科学的なトレーニングも良いですが、基本的な打つ、投げる、走るが大事です。故障するような体では、神宮で戦えません。量をやらないと。昨秋以降は良い練習ができていますが、自己満足ではダメ。必ず、成果を神宮で出す」(加藤監督)

 指揮官の熱き思いは、学生たちに届いている。主将・齊藤は「加藤監督を勝たせたい」と力強く語る。月に2度の幹部ミーティング(主将、副将、主務、学生コーチ)で意見交換をし、風通しの良いムードができている。

 1915年創部の法大は2022年、初の女性主務である宮本ことみ(4年・法政大高)がチーム運営の中核を担う。加藤監督は言う。

「日本一になりたいんです! と。そのために必要なことを毎日ように、私の部屋に来て話し合いを重ねています。マネジャーの熱量が、選手たちにも十分に伝わっています」

2つの課題を克服して


 2つの課題は明確だ。まずは、投手力。プロ入りしたDeNA三浦銀二ヤクルト山下輝の後継者育成である。ブルペンでは188センチの大型右腕・扇谷莉(4年・東邦高)の自覚が増しており、加藤監督も「ブルペンの雰囲気が違う。張り詰めた空気が流れている」と手応えを得ている。高校時代にドラフト有力候補に挙がった155キロ右腕・篠木健太郎(2年・木更津総合高)も先輩たちの背中を追いかけ、飛躍の予感が漂う。

 もう一つは、打線強化。昨秋はリーグ5位のチーム打率で、10試合27得点。攻撃力アップのため、徹底的にバットを振り込んできた。

 野手は昨秋からレギュラーの強肩捕手・村上喬一朗(4年・東福岡高)が持ち前の明るいキャラクターで主将・齊藤をサポート。グラウンド、合宿生活と最上級生が率先して動く理想的なスタイルが確立されつつある。

 ターゲットは一つ、リーグ史上6度目の10戦全勝優勝だ。法大としては1982年春以来の偉業への挑戦となる。「リーグ戦と言っても、最終的には勝率での勝負なるため、一つも落とせない。全部、勝ちにいきます」と加藤監督は力を込める。対戦5カードで力を発揮するための「最高の準備」を進めていく。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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