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新戦力加入で楽天・鈴木大地が「レギュラー剥奪危機」も ハイレベルな争いでV奪回へ

 

チームを鼓舞するキャプテンシー


昨季は主に一塁手として出場し、打率.277をマークした鈴木


 今オフ、楽天は明るいニュースが続いている。田中将大の残留が決まり、懸案のリードオフマン候補として日本ハムを自由契約になった西川遥輝の獲得にも成功した。さらに、ヤンキースをFAとなったクリス・ギッテンスとの契約に合意したことを発表。身長193センチ、体重113キロの体格からパワフルなスイングが魅力で主軸として期待される。

 西川、ギッテンスの加入で内外野のレギュラー争いは一層加熱する。内野でレギュラーが確定しているのは二塁の浅村栄斗だけだろう。昨季は一塁が鈴木大地、三塁は茂木栄五郎がレギュラーを務め、遊撃は小深田大翔山崎剛がポジション争いを繰り広げた。ここに一塁が本職のギッテンスが入ることで、鈴木大地、茂木栄五郎のレギュラーが確約されない状況になった。

 プレーだけでなく、チームを常に鼓舞するキャプテンシーの鈴木は精神的支柱といえる。決して体が大きいわけではなく、足も速いわけではない。プロの世界で生き抜くため、チームに要求された場所で最大限の力を発揮する。その生き様を象徴するのが守備位置だ。ロッテに入団1年目の2012年は二塁、遊撃、三塁と3つのポジションを守り、13年から遊撃のレギュラーに。17年から二塁にコンバートされ、同年にゴールデン・グラブ賞を初受賞した。18年には井口資仁監督の方針で中村奨吾と入れ替わる形で三塁へ。鈴木は週刊ベースボールのコラムで、三塁へのコンバートについてこう振り返っている。

「井口さん(井口資仁、監督)にセカンドからサードへのコンバートを告げられました。『来年、ポジションを変えようと思う。奨吾(中村奨吾)をセカンドに戻すから……』と言われたので、『ショートに戻るのかな』と思ったら、『サードに回ってもらえるか』と。『ホットコーナーで、元気を出していってほしい』という言葉を掛けてもらい、自分の中ですんなりと受け入れることができました。そういう響く言葉を直接もらえたのはうれしかったし、期待に応えなければいけないと思っています」

 前向きな姿勢を見せるが、二塁、遊撃、三塁は同じ内野でもまったく見える景色が違い、体の動かし方、グラブさばきなど送球への一連の動作も変わる。それぞれのポジションに適応するのは想像を超える苦労があったはずだ。実際に三塁コンバート1年目の18年は10失策と前年から倍増。試合終盤に守備固めを出されて交代することも少なくなかった。19年は三塁が本職だったレアードの加入で開幕戦を欠場した。それでも、鈴木は下を向かない。一塁で出場機会を増やし、中学2年以来の外野でスタメン起用も。規定打席にきっちり到達し、打率.288、15本塁打、68打点と結果を残した。

移籍1年目にベスト9&GG賞


 同年オフにFA宣言すると、楽天、巨人が獲得に乗り出したことが選手としての市場価値の高さを物語っている。移籍1年目の20年は自己最高の打率.295をマークし、三塁で初のベストナインとゴールデン・グラブ賞を受賞。複数ポジションでのゴールデン・グラブ賞の受賞はパ・リーグ史上10人目の快挙だった。

 昨季は一塁で主に出場したが、今季はレギュラーを保証された立場ではない。だが、このような逆境を幾度も乗り越えてきた。14年ぶりのリーグ優勝へ。不可欠なキーマンであることは間違いない。

写真=BBM
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