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イチローが「打撃、守備と比べても最も高度」と語る走塁。NPB通算盗塁成功率は?

 

走塁ミスを挽回する盗塁も



 NPB通算1278安打、打率.353。MLBは通算3089安打、打率.311だ。これこそが日米を股にかけて安打を量産したイチローの最も注目される数字だろう。まさに金字塔。イチローが世界に君臨するヒットメーカーであることも論をまたない。ただ、どんな打者でも安打を放てば塁に出る。イチローは次の塁を狙うことにかけても抜群の安定感を誇っていた。

「打撃、守備と比べても最も高度」とイチロー自身も語っていた走塁。NPBの9年間で残したのは通算199盗塁を数える。一方、盗塁刺は33で、通算盗塁成功率.858。これは盗塁企図数200以上の選手ではNPBトップの安定感だ。ただ、イチローは「いつも一瞬の判断力を高めたいと思ってるし、状況に応じた盗塁をしたい」と語っていたものの、「僕の中で走塁における盗塁の位置は、そんなに高くない」とも。こだわっていたのは勝利につながる盗塁。盗塁の単純な数ではなく質ということだろう。イチローの盗塁王は49盗塁を決めた1995年の1度のみだが、このときの数字を詳しく見てみるとイチローのこだわりが透けて見える。

 94年にプロ野球で初めてシーズン200安打を突破、最終的に210安打、打率.385で初の首位打者となってブレークしたイチローだが、迎えた95年は179安打にとどまり、安打の数を減らしている。一方、94年の61四死球から86四死球と急増。これも盗塁が急増した一因だった。95年の盗塁企図数は58。もちろん、それぞれの状況に応じたものであることは前提になるが、このうち安打で出塁した際の盗塁企図は25回だったのに対し、それ以外は33回を数える。四死球だけでなく相手の失策、内野ゴロで自身が一塁に残った場合などで、安打のときよりも積極的に盗塁を敢行していたのだ。94年から出塁率は微減した95年だったが、前年から20盗塁も増やして、初の戴冠となっている。

的確なスタートでNPBでは実働9年間で通算199盗塁を積み上げた


 97年には走塁ミスを挽回する盗塁も。右中間への打球を抜けたと勘違いしたイチローは二塁をスタート、犠飛にできなかったときには、次の打者に対する2球目で三盗。小さいものだったが、珍しく塁上でガッツポーズを見せている。

写真=BBM
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