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現役では誰も達成できていない…全試合フルイニング出場での首位打者は?

 

 打席に立つ機会が多く得られても、凡退してしまうと当然ながら打率は下がる。そのため、シーズン終盤になると、打率トップの選手が打率を下げないために欠場するケースがある。では、過去にシーズンフルイニング出場を果たしながらも、首位打者になった選手はいるのだろうか?

同時達成者は過去に6人のみ


1995年に史上2人目のフルイニング出場で首位打者に輝いたイチロー


 これまでの首位打者獲得選手のうち、「シーズンフルイニング出場」と「首位打者」の両方を同時に達成したのは以下の6人だ。

王貞治(1969年/巨人)
・イチロー(1995年/オリックス)
松井秀喜(2001年/巨人)
西岡剛(2010年/ロッテ)
長谷川勇也(2013年/ソフトバンク)
秋山翔吾(西武/2017年)

 最初に同時達成したのが1969年の王貞治だ。前年に初の首位打者のタイトルを獲得していたが、死球によるケガで2試合を欠場。しかし、翌1969年は全130試合にフルイニング出場し、首位打者と本塁打王の二冠を獲得(最多打点は長嶋茂雄)した。

 1995年には、イチローが全試合フルイニング出場での首位打者に輝いている。この年のイチローは、首位打者以外にも最多打点、最多盗塁、最多安打、最高出塁率で打撃5冠を達成。本塁打も首位に3本差と、打撃6冠もあり得た。

 2000年以前は王とイチローしか達成者はいなかったが、2000年以降では4選手がフルイニング出場での首位打者となっている。まずは2001年の松井秀喜。この年は本塁打数は伸びなかったものの、確実な打撃で安打を量産。65試合連続出塁などの記録を打ち立て、プロ9年目にして初の首位打者に輝いた。

2010年には西岡が“フルイニング首位打者”に


 2010年は西岡剛が「フルイニング出場での首位打者」になっている。この年は歴代最多、27回の猛打賞を獲得。スイッチヒッターでは初のシーズン200安打到達など、さまざまな記録を打ち立てた。西岡はこのシーズン限りでロッテを退団。ポスティングでのメジャー挑戦を表明し、ツインズへと移籍している。

 2013年には、昨季で現役を引退した長谷川勇也が、自身初のフルイニング出場を記録している。この年はシーズンを通して好調で、多くの選手が調子を落とす夏場も月間打率.370と好調をキープ。勝負強いバッティングで首位打者と最多安打のタイトルを獲得した。

現在はMLBレッズでプレーする秋山は西武時代の2017年にフルイニングに出場して首位打者を獲得


 6人目は現在メジャー・リーグでプレーする秋山翔吾だ。2017年はソフトバンクの柳田悠岐と首位打者争いを繰り広げ、最終的に打率.322で自身初の首位打者のタイトルを獲得。同時にフルイニング出場も記録した。2015年には打率.359と好記録を残しながらも柳田の前にタイトルを逃していたが、その雪辱を見事に晴らした。

 そもそも「首位打者」のタイトル獲得自体が簡単ではない上に、「シーズンフルイニング出場」も1年間ケガや極度の不振もなく、コンスタントに活躍できないと達成できない記録。そのため、フルイニング出場での首位打者は、長いNPB史の中でもわずか6人しかないのだ。

 残念ながら現役のNPB所属選手には、「全試合フルイニング出場での首位打者」はいない。前広島鈴木誠也やオリックスの吉田正尚など、屈指の巧打者でも達成できていない。今季は2017年の秋山に続く7人目の「全試合フルイニング出場での首位打者」が誕生するのか。ぜひ注目してもらいたい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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